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「理想の嫁」は家事育児が苦にならず夫を立てる優しい女性、だそうです

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周囲に迷惑をかけず、サポーターに徹する嫁

続いて、<義両親目線での「理想の嫁」は?>のアンケート結果。

40~70歳の既婚男女402名に聞いた「理想の嫁の特徴」は、小学校の先生が大好きであろう児童の特徴に取って代わりそうな回答だった。

(1)思いやりがある
(2)真面目
(3)素直
(4)息子を大切にしてくれる
(5)いつも笑顔

独身男性の回答以上に、義両親は「より扱いやすい女性」がお好みのようで、こちらも「理想」について尋ねられたアンケートである以上、こういった結果になるのは仕方ないともいえる。とはいえ、求めるものが多すぎやしないか?

「真面目で子煩悩で息子に優しければいいですね。気の強い人はできれば避けたいです」(60歳女性/医療・福祉/販売職・サービス系)

だったらどういう点なら大目に見られるのかを問いかけたくなる。しかも<真面目な人は、嘘や偽り、不倫や浮気といった心配がなさそうですものね>という、理想に満ちた解説が……。Aという特性を持つ人はBという特性も持つ、というやつだ。真面目ゆえに気が利くゆえに上手に嘘をつく人だっていると思うが。ま、バレなきゃいいのか。

そして義両親に聞いた「理想の嫁に近いと思う女芸能人」は、綾瀬はるかがやはり1位。以下はジェネレーションギャップを感じはするものの、吉永小百合、山口百恵、三田寛子、新垣結衣、堀北真希の名前が上がった。これまた予想通りの結果になっているが、そもそも恋愛及び結婚系のアンケートで予想外の結果ってあまり聞かない。これが大衆的な総意といことなんだろう。

「吉永小百合。清潔感があるので見習ってほしい」(70歳男性/機械・精密機器/事務系専門職)

「山口百恵さん。芸能界をスパッと引退し、家庭を守り旦那さんともずっと仲が良くて素敵です」(47歳女性/その他/事務系専門職)

「三田寛子。家庭一番で、夫、子どもに尽くしているし物事の考え方が素晴らしい」(44歳女性/その他/その他)

「堀北真希。最初は共稼ぎでも、子どもができたら、周囲に迷惑をかけないで専業主婦に転向する女性。健気ではないか」(64歳男性/その他/その他)

特に、山口百恵と堀北真希と回答した人は、「あれだけ人気があったのに引退して家庭に入り夫と子どものサポートに回った」ことがどうしようもなく素晴らしく思えてならないのだろう。それにしても「子どもができたら、周囲に迷惑をかけないで専業主婦に転向する」という一文には悲しくなった。人間は体調不良になることがあるのが当然なんだから、就労だろうが育児だろうが、周囲に迷惑をかけずに誕生から最期まで生きていくなんて無理だ。子どものいない女性が働いても、専業主婦の女性が子育てしても「周囲に迷惑をかけないで」い続けるのは不可能だ。誰かに迷惑かけながら生きるのは、この世の人間全員、老若男女問わず共通していることじゃないのか。

男性目線からの「理想の嫁」も、義両親目線からの「理想の嫁」も、あくまで「理想」の域に過ぎないであろうことを願ってやまない。ただ一方で、こんなにも当たり前に女性の人権を無視する願望が「理想」としてまかり通り、疑われもしない社会って何なんだろう。回答者はいずれもまったく悪びれないけれど、これを「理想の嫁」と提示すること自体、とんでもないことだとは思わないんだろうか。「理想の嫁」は、きっと、自意識を持たない。真面目で芯の強い人間であることを求められているけれど、それと同時に、家族に逆らわず、自分の欲求を表面に出さず、淡々としかし笑顔で家族の世話を焼くのが「理想の嫁」だ。そんな都合の良い存在に、自ら立候補してなりたい? 冗談じゃない、女性たちは裸足で逃げ出していい。誰かのサポーターに徹することが幸せの境地だなんて、私は思わない。

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