「愛情不足」の親には届かないのでは?
この記事の最後は、<親の愛情は子供にもきちんと伝わる>と締め括られており、共働きゆえに愛情不足になるのでは……と心配する読者を「そんなことはない。時間と愛情は必ずしも比例しない。保育園に通うことで規則正しい生活が出来るという子供にとってのメリットもある」とフォローするかたちで締めくくられていた。
だったら、たいていの親たちは皆頑張っているだろうし、はじめから「愛情不足では?」と煽るようなことを書かなければ良いのでは……矛盾も甚だしい。そして、実際に育児放棄をしている親にはこういう情報は届かないと思う。自ら気になって検索しなければ情報には辿りつかないし、たとえテレビのような受動的なメディアで「これはお子さんの愛情不足サインです!」と喧伝したところで、我がこととして受け止められないのではないだろうか。
この記事には医師などの監修を受けたなどの文言は一切なく、つまり素人が素人なりの解釈と言葉で書いただけのものなのだ。DeNAのキュレーションメディアが一掃され大騒動になったというのに、今もなおこういったサイトや記事が本当に多く出回っている。私も、医療関係者でも保育の専門家でも何でもないが、だからアドバイスやメソッドなどは書かず、自分のイチ母親としての意見をこうして書いている。<イメージ>だけで言葉を羅列して記事を書き上げることは簡単だが、その記事が人に与える影響を考慮すれば、<イメージ>に捉われることなく「自分はこう思う」という言い方をするしかない。「~~だそうです」を並べて、「いかがでしたしょうか?」で締めるなんていい加減なことは、するべきではない。
子供の「本来の健康な姿」という一般的なイメージ像が世間に共有され、意識されすぎるがために、育児中の親たちを悩ませる。<あるべき母親の姿>が固定化されていることと同じような現象だと思う。
一人の子供を育てるのには、親だけじゃなくたくさんの他人の協力が必要だ。私もこれから子育てをする中でたくさんの人と出会うだろうと思う。保育士、教師、「ママ友」etc……そこで「決めつけ」なのか「脅し」なのか分からないような言葉に出会ったとしても、無責任な煽りに振り回されないように気を確かに持っていたい。私自身も、誰かに対してそういう言動をしないように気をつける。毎日、自由に進化していく子供の心身の成長を見落としてしまわないようにだけはしたいと思う。そして将来、我が子がどんな子になっていようが「自分はその子の親なのだ」と思えるように、どっしり構えていたいものだ。