連載

子供の“最初の1000日”を守れ――不利な環境にある子供への早期支援が必要な理由

【この記事のキーワード】

日本の子供たちの最初の1000日の状況

では、日本の状況はどのようになっているのでしょうか?

※クリックで拡大

※クリックで拡大

上の図が示すように、日本は先進諸国の中でギリシャについで出生時に低体重児の割合が高く、その値は9.6%となっています。そして日本は、1970年代にはこの値が5%台だったにもかかわらず、2010年にはこれがほぼ倍増しているという、他の先進諸国には見られない特徴があります。その原因は高齢出産だったり、女性の喫煙率の増加だったり、痩せすぎの女性の増加だったり、様々なものが指摘されていますが、いずれにせよ子供の発達を守るためにも、妊産婦への支援が必要な状況にあると言えます。また、出生時だけでなく0-5歳児の低体重割合についても、日本はデータが存在する5カ国の中で最も高い3.4%となっています(次にチェコの2.1%、ドイツの1.1%と続くことから、恐らく日本は先進諸国の中で最も低体重児の割合が高い国の一つであると推測されます)。

これらのことから、栄養面に関する日本の子供たちの最初の1000日の状況は、先進諸国の中で最低水準にあることが考えられます。さらに、一般的に厳しい状況にある親の子供ほど栄養不足や栄養不良になりがちである点も重要です。このため、低学力・低学歴を通じた貧困の連鎖を防ぐためにも、前回の記事で取り上げたシングルマザーの子供や、親が失業状態にあるといった、不利な環境にある子供たちの最初の1000日の支援が重要だと言えるでしょう。

特に注意が払われるべきなのは、不利な環境にある家庭ほど、経済的な理由により「子供のケアに手をかけたいが金銭的な事情がそれを許さない」、「日々の生業で手いっぱいで、子供のケアに充分な時間的をかける余裕がない」といった現実に直面している点です。単純に最初の1000日の重要性を説くだけでは、逆に保護者の精神的な負荷を大きくし、子供に悪影響が出ることが懸念されます。このような現実を考慮し、この時期にある子供たちに、栄養面だけでなく、発達を促すための適切な刺激(教育)、必要な予防接種の実施や衛生的な環境の提供(保健)、支援を可能にするための行政システム(子供の保護)と、行政的に分野横断的な支援や社会的な支援がなされることが必要であることは言うまでもありません。

参考文献
Martins J.B.V., and et al (2011) Long-Lasting Effects of Undernutrition. International Journal of Environmental Research and Public Health, 8(6), 1817-1846.
Martorell, R, et al. (2010). The Nutrition Intervention Improved Adult Human Capital and Economic Productivity. Journal of Nutrition, 140(2), 411–414.

1 2 3

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。