「家を売る」ための基礎知識を知れば、「家を買う」ときに欠かせない重要ポイントが見えてくる!

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「女ひとり、家を買う。」Photo by Amanda B from Flickr

「女ひとり、家を買う。」Photo by Amanda B from Flickr

 これまで家を買うことに焦点を当て、そのうえで「ライフスタイルが変わったときに、売るという選択肢を持つ」ことを提案してきた当連載。でも実際のところ家を売るは、購入する以上にイメージしづらいものです。

 でも実は家を売るための手順を掘り下げていくと、どんな人も知っておきたい不動産仲介会社ならではの構造が見えてきました。住宅・土地統計調査によれば、2013年時点で50代後半の70%超、70代前半の80%超が持ち家を所有していることがわかっています。つまり私たちは自分が買った家を売る以外に、親の持ち家を売る可能性もあるのです。「家を売る」は、他人ごとではありません。

 そこで、今回はまさに家を売ろうとしている姉ケ崎さんに注目しました。彼女は“家を買い隊”モニターに参加する過程で、新たなマンションを購入するためにも、まずは現在所有するマンションを売ろうと決め、本格的に動き出しています。今回は姉ケ崎さんが、さくら事務所の不動産コンサルタント田中歩さんによる、家を売るためのコンサルティングを受けたときの様子をリポートします。

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姉ケ崎寧々さん。38歳

【プロフィール】
東京都江戸川区で、2歳の子どもとふたり暮らし。離婚歴あり。現在は最近親から譲り受けたばかりの築
20年、3LDK90㎡のマンションに住んでいる。しかし家が寒いのと日当たりが悪いのが気になって、住み替えを検討中。フリーランスのデザイナーで年収は200万円弱。

▼これまでの姉ケ崎さん
「別れた元夫に住宅ローンを支払わせたい」というシングルマザーの願いは叶えられるか?
所有する物件を売るか、キープするか。「マンション売りどき」とされる今だからこその葛藤!
最大のこだわりは、日当たりのよさ! マンション購入希望のシングルマザーが内見で直面した現実

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コンサルタント:田中歩さん

【プロフィール】
不動産コンサルタント。三菱
UFJ信託銀行にて、企業向け不動産コンサルティング・不動産相続コンサルティングなどを切り口に不動産売買・活用・ファイナンスなどの業務に17年間従事。以降独立し、ユーザー目線で住宅購入サポートや住宅売買コンサルティング仲介などのサービスを行っている。2014年より同事務所執行役員。日本経済新聞電子版「転ばぬ先の不動産学」など、執筆活動も行っている。

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姉ケ崎さん(以下、姉ケ崎):私はすでに不動産を売却するために動き出しています。いま購入でもお世話になっている不動産会社と媒介

※一般に不動産会社が、家を買うのを取り持ったり、家を売るのを取り持つことを宅地建物取引業法上「媒介」と言います。「仲介」とおおむね同様の意味ですが、特に買うのを取り持つ業務に関してを「仲介」ということもあります。今回のリポートでは、双方の区別のために家を売るのを取り持つことを「媒介」、家を買うのを取り持つことを「仲介」と表現します。

田中歩さん(以下、田中):なるほど。では不動産売却の際の媒介契約の3つの種類について説明しますね。大きく分けると、

①「私の物件を扱っていいのは、あなただけよ」という専任媒介
②「あなた以外にも仲介を頼むかもしれないよ」という一般媒介
③「あなただけよ」の専任媒介のなかでも、縛りのきつい“専属専任媒介”

があります。③の専属専任媒介は専任媒介と同じく「あなただけよ」という契約ですが、たとえば姉ケ崎さんが何らかのルートを使って自分で買主を見つけたときでも、この契約を結んだ業者に全部任せなきゃいけないんですね。だから売主と業者の縛りが、一番きついのが③というわけです。

業者がウソをつく!?

田中:①は、自分が買い手を見つけたときは自分で直接取引しても構いませんが、他業者に媒介させることはできません。ただ、実際に自分で買主を見つけることはあまりないので、一般的には①と③はあまり変わりがないといえます。

姉ケ崎:それぞれに、メリットやデメリットはあるのですか?

田中:はい、ありますよ。①の専任媒介と③の専属専任媒介は、業者からすると競合相手がいないことになるんですね。要はお客さまがほかの業者に逃げないから、安心なんです。焦って買い手を見つけなくてもよいわけです。

姉ケ崎:でも①の契約を結んでいても、物件の情報は一般に公開されると聞きました。

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