アメリカのネット・メディアに「Tibeb Girls」というガールズ・スーパーヒーロー・アニメのトレイラーが出回っている。
トレイラーはアフリカ、エチオピアの小さな村の風景から始まる。髪をコーンロウに編み、大きな眼を見開いた女の子が「近頃、私の村では女の子がトラブルに見舞われるたびにTibeb Girlsが助けに来てくれる」と言う。その言葉どおり、女の子を襲う悪者がTibeb Girlsにノックアウトされ、女の子が無事救出される場面が続く。
Tibeb Girlsとは、エチオピアの3人の若い女性が変身するスーパーヒーロー・トリオだ。( )の中はエチオピアでのオリジナル・ネーム。
赤:パワーガール(Fiteh)は強さとスピードのスーパーヒューマン
黒:ウィズキッドガール(Tigist)は未来を見ることができる
緑:エンパシーガール(Fikir)は他者の気持ちを知る力を持つ
「Tibeb Girls」は単なる娯楽アニメではない。エチオピアの女の子たちが宿命として背負わされている惨く苦しい風習を打ち破るために企画されたものだ。制作者はエチオピアのプロダクション会社、ウィズキッズ・ワークショップのCEO、Bruktawit Tigabu氏。自身も女性であるからこそ、「地域社会、学校、家庭ですら語ることがタブー」とされているエチオピアの女性の問題を改善したいのだと語っている。その問題とは以下の4つだ。
・月経に対する羞恥、スティグマ
・子供の結婚
・女性割礼
・教育へのアクセス
同社のウエブサイトには同国の女性に関する以下のデータも掲載されている。
・15-24歳の女性の識字率は38%
・女性の5人に1人は15歳未満で結婚
・15-19歳の女性の12%はすでに子を持っているか、第一子を妊娠中
女子割礼は現在「女性器切除」(FGM: female genital mutilation)と呼ばれる。ユニセフによる地図を見ると、主にアフリカのイスラム諸国で行われていることが分かる。色が濃い国ほど施術率が高く、エチオピアは74%だ。

(地図)wikipedia/UNICEF
今、制作者は「Tibeb Girls」のラジオとテレビでのオンエアのための基金を募っている。アメリカの、主に黒人メディアが「Tibeb Girls」を一斉に取り上げたのも制作者の主旨に賛同し、資金集めに貢献するためだ。