
「女ひとり、家を買う。」Photo by Amanda B from Flickr
家を買うことには興味があるけれど「自分に合った住まいはどんなものなのかが見えない」「どのタイミングで手に入れればよいかわからない」という人は多いでしょう。
たとえば洋服なら、自分好みの服を賢く購入できる人が多いと思います。それは洋服の相場感や自分に似合うアイテムを知っていて、今後のトレンドの移り変わりも、ある程度予測ができるから。ところが衣食住のなかで、とりわけ住まいに関してはほとんどの人が経験に乏しく、選択肢を絞るのがむずかしいのです。
そこで頼りにしたいのが、専門家。本連載をはじめウェブや雑誌には多くの不動産の専門家が寄稿しています。そこで「この人は信頼できる」という人を見つけたら、著作を読んでみるのがオススメです。不動産の市場はさまざまな要素に影響を受けますから、1冊の本でその相関関係を俯瞰することで、全体像がスッと頭に入ってくることも多いのです。
たとえば“家を買い隊”のアドバイザーとしてもお馴染みのさくら事務所の会長、長嶋修さんの新著『不動産格差』(日本経済新聞出版社)を読めば、最新の不動産市場分析や、価値のある不動産の見極め方などが見えてきます。ちなみにこの本、5月12日の発売以来アマゾンの不動産一般関連書籍カテゴリ1位を独走中だそう。
将来、85%の不動産価値が下落する!?
この本で最も刺激的なのが、不動産市場の現状分析。長嶋さんによれば、今はすでに“不動産市場の三極化”が進んでいるといいます。その内訳は、同書で次のように分類しています。
・価値維持あるいは上昇する 10~15%
・徐々に価値を下げ続ける 70%
・無価値あるいはマイナス価値に向かう 15%~20%
つまり、ほとんどの不動産は価値が下がっていくのです。その大きな理由は人口減少。これがいかに深刻なものか、今はまだイメージがわかないかもしれません。国の推計によれば、日本の人口は2004年から50年で約25%の3300万人も減少するとのこと。これは、カナダ全土のおおよその人口にあたります。
つまり2017年の今から35年ローンを組むと、払いおわるころには人口が激減した世界が待っている。国の推計が現実になれば、当然、家は余っているでしょう。「それでも家を買った方がよいのだろうか?」と考えさせられてしまいます。
「はたしてこうした状況下で、不動産を購入してもよいのか?」ーーこの問いに対して、長嶋さんは同書で「条件付きでOK」と結論づけています。つまり「価値維持あるいは上昇する 10~15%」の家を買えばよいということです。