
会見に臨んだ詩織さん/写真:日刊スポーツ/アフロ
「週刊新潮」(新潮社)5月18日号が報じた、元TBS記者でジャーナリストの山口敬之氏による準強姦疑惑が引き続き波紋を広げている。5月29日に、被害に遭ったという女性・詩織さん(28・苗字は家族の意向により非公表)が、検察審査会に審査を申し立て、その直後、司法記者クラブで記者会見を開いた。通常、被害を訴える側は顔はおろか氏名も伏せることがほとんどだが、詩織さんは「被害者女性と言われることが嫌だった。また取り調べ中も被害者らしく振る舞いなさいと言われたが、被害者が悲しい、弱い、隠れなきゃいけないという状態にあることに疑問を感じた」と、顔と名前を公表して記者会見に臨むことを選んだという。
詩織さんの会見、および告発した「週刊新潮」の記事によれば、当時TBSのワシントン支局長だった山口氏と、トムソン・ロイターでインターンとして働きながら就職先を探していた詩織さんは、2013年秋にアメリカで知り合う。山口氏は詩織さんを評価し、TBSのNY支局長に引き合わせるなどし、2015年春、詩織さんが就職活動にあたって山口氏に相談すると、山口氏は自身の勤務先での採用をほのめかし、詩織さんは履歴書を送った。3月下旬、山口氏は雇用を前提にビザの取得について話し合いをしたいとして、「ヤボ用で一時帰国する事になった」ので東京で会って話をしようと持ちかけた。
同年4月3日に東京・恵比寿で就職の話を詰めるために串焼き屋で食事をした。一時帰国中の山口氏は「明日帰るんだけど、恵比寿には顔を出さなきゃいけない店がものすごくあるから付き合って」と詩織さんを誘い、二軒目の鮨屋へ。詩織さんは酒に強く、また就職の話をするために会っているのだから酔いつぶれるほど飲んでいないにもかかわらず、鮨屋で「二度目にトイレに行った時にクラクラとし、給水タンクに頭をもたせかけて休んだきり、記憶がない」状態となってしまった。そして意識を取り戻した時、仰向けの状態の詩織さんにコンドームをつけていない状態の山口氏が跨っていた。もちろん詩織さんは、山口氏と性行為をすることに「合意」していなかった。合意もなにも、記憶がないままホテルの一室に運ばれていたと主張する。
記事や詩織さんによれば山口氏による「デートレイプドラッグ」の使用があったのではないかという疑いがあるようだ。会見によると、詩織さんは同年4月9日に警察に相談。4月30日には高輪署で告発状が受理され、捜査によって容疑が固まり逮捕状が発布されたが、帰国予定の山口氏を逮捕しようと6月8日に空港に行った捜査員から「上からの指示で逮捕できなかった」と連絡があった。それでも山口氏は8月26日に被疑者として書類送検されたが、それからおよそ一年後の翌2016年7月22日に代理人弁護士を通じて、嫌疑不十分のため不起訴処分となったことを伝えられた。今回の会見は、これを不服として検察審査会に審査を申し立てたのちに、開かれたものだ。