社会

相次ぐ線路飛び降り逃走 逮捕者のひとり『痴漢冤罪ではなかった』男が公判で述べた『飛び降りた理由』

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 事件の日は江戸川競艇場に行こうと、7時過ぎに自宅を出て、8時過ぎに京浜東北線に乗った。(中略)十条で人がたくさん乗ってきた時、女性がいることに気づいた。近づきたい、密着して揺れに乗じて触りたい。右手と左手の手の甲で触った。すると『触ったでしょ』と言われたので『違うよ、当たっただけだよ』と答えたが聞き入れてくれず降ろされた。

 少しぐらいなら大丈夫、気づかないかも、怒らないかもと思った。20秒くらい触ったと思う。

 以前、痴漢で捕まりそうになった人が線路に降りて逃げたニュースを見たので、コートを脱いで線路に逃げた」(福島被告の調書抜粋)

 情状証人として出廷した被告の父親(70代)は「この前も間違い起こして、その時に弁護士さんに言われてアパートを引き払うか揉めた。でも本人が気に入ってて、どうしてもここに、ということで、それなら、ちゃんとやれれば、と……」と縷々述べる。要約すると、前回の裁判でも証人出廷し、監督を誓っていたというが、当時福島被告が住んでいたアパートを引き払い実家に呼び戻そうとしたところ、福島被告から拒否されたので、十分な監督ができていなかったようだ。

 『前回の裁判』とは、別の窃盗罪の裁判であり、福島被告は平成18年と平成20年に痴漢での罰金前科があるほか、平成26年に窃盗罪で執行猶予判決を受けている。今年の3月にその執行猶予が開けたばかりであった。つまり痴漢で逮捕されるのは9年ぶりなのだという。

 被告人質問が始まると、被告人席から証言台の前まで、片足を上げながらジャンプして近寄り、立ったまま答え始めた。動機としては『プレッシャー』があったと述べた。

弁護人「今回、電車には痴漢しようと思って乗ったんですか?」

福島被告「電車混んできて気持ちでそういう、自分の軽い気持ちで、そういう行動を取ってしまった」

弁護人「9年我慢できたのになぜ? 執行猶予が解けたすぐ後にこういうことをしてしまったのは?」

福島被告「自分の人生、うまくいかなくなってきて、今年こそ、元の社会生活に戻れるように、意気込んで、絶対変えてやると思って、プレッシャー、なっちゃったんですね」

弁護人「実際に就職活動はしていたんですか?」

福島被告「行く会社を絞って、これからやるぞという意気込みでやっていました。一つの仕事しかできないんで、ずっと、同じ仕事しかできなかった、自動車会社で、20歳から30歳くらいまで仕事できたんですが、30歳過ぎて3回失敗して、今年もう一度、自動車会社で仕事しようと思いました」

『自動車会社の仕事』と『30代の3回の失敗』について詳細は明かされなかったが、とにかく人生につまずき今年こそはと奮起していたことが『プレッシャー』になっていたという。だが人間、プレッシャーを感じたからといって痴漢に走る正当性は担保できない。検察官がそこに突っ込んだ。

検察官「でも人間、プレッシャーやストレスを感じたからといって犯罪には走らないですよね。なぜあなたは痴漢に?」

福島被告「………自分の心が弱いからだと思います」

 刑事裁判の法廷で嫌という程聞いてきた台詞である。被告人の多くは心の弱さを犯行の理由にする。

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