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「ポカリスエットゼリー」CMの「L/R」発音は、在米日本人のトラウマを掻きむしる

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「ルルレモン」は日本人が発音できないから命名された

 アメリカの国勢調査の「アジア系」には東アジア、東南アジアからインドやパキスタンなど南アジアまで含まれるが、そこに白人や黒人など他人種とのミックスを含んでも全米で約1,700万人、全人口の6%弱を占めるに過ぎない。さらに日系(日本国籍者も含む)に限ると130万人。つまり完全にマイノリティだ。

 アジア系人口の内訳は多い順に 1)中国系 2)インド系 3)フィリピン系 4)ベトナム系 5)韓国系 6)日系 (以下略)となっている。各国で生まれてアメリカに移住した移民一世と米国生まれの二世以降の区別は無く、同じカテゴリーに含まれる。

 アメリカでは「L/R」の混同は東アジア系(日本/中国/韓国)の特徴と認識されているが外観から日/中/韓の区別をつけられることはなく、大抵の場合「Asian」で一括りとなる。

 いずれにせよ、アジア系は「L/R」が区別出来ず、その最たる証しは「ハロー」だとされている。本来は「Hello」と「L」だが、アジア系は「Herro」と「R」で発音する。先方には相当奇妙に聞こえているわけだが、出会い頭に誰もが発する挨拶だけに発音が正しくなくとも「Helloのつもりだな」と、そこは理解されてしまう。そこから哀しいかな、いくつかのオンライン辞書には「Herro」が記載されてしまっている。urbandictionary.comには「Herro – アジア系の訛りによるHello」、en.wiktionary.orgには「(侮辱的な)東洋系英語でhelloを表す視覚方言の綴り」とある。視覚方言とは無教養者の話し言葉、または方言、口語を伝達するための非標準的な綴りを指す。

 さらに屈辱的な実話として、日本人にも人気のあるヨガウエア・ブランド「ルルレモンLululemon」の件がある。同社の創設者チップ・ウィルソンは「我が社の商品は、ある体型(肥満)の女性には合わない」「Lサイズのウエアは生地を30%余計に使うため、価格を上げなければならない」など多くの発言が物議を醸し、2013年に辞任している。このウィルソンの発言のひとつに「ルルレモンの由来」がある。2004年、あるビジネス雑誌の取材でブランド名をLululemonとしたのは、「日本人は『L』がうまく発音できず、『ルルレモン』と発音しようとするのを見るのはおかしいから」と発言しているのだ。

 アメリカ国内にもあらゆる発音が存在する。南部のゆったりした話し方は時にジョークにされることがある。黒人特有の話し方も同様だ。中南米からの移民にはスペイン語しか話さない者も多く、アメリカ人が「ここはアメリカだ、英語を話せ!」と憤慨するニュースも流れる。しかし、アジア系の扱われ方はなぜか異なる。英語の訛りが見下されたり、ジョークにされる際、そこには英語だけの問題でなく、どこか「すべての面における能力の足りなさ」「存在感の圧倒的な薄さ/無さ」「取るに足らなさ」を表すニュアンスが含まれるのである。

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