アジア系は「吊り目」~「事実」「差別」「パロディ」 の違い

文=堂本かおる
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『The Skin You Live In』

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 前回の『「ポカリスエットゼリー」CMの「L/R」発音は、在米日本人のトラウマを掻きむしる』ではアジア系特有の英語の発音がアメリカでどう扱われ、アジア系自身の生活にどう影響しているかを書いた。今回はアメリカにおけるアジア系の「吊り目」描写について考えてみる。

 発音は練習次第で変化する。言葉はコミュニケーション・ツールなので、通じない発音は練習によって改善しなければならない。ただし俳優など特殊な職業を除き、アジア系特有のアクセントをすべて無くす必要はない。「通じる発音」を身につければよいのだ。しかし目の形は生まれつきの身体特徴であって、整形しない限り変えることはできない。

 身体特徴は人種によってパターンがある。個人差はあるものの、一般的にアジア系が白人や黒人よりも小柄であること、肌の色が黄色味がかっていること、まぶたは一重で目尻が上がっていることは事実だ。ちなみにこうした特徴はモンゴロイドのものであり、アジア系だけでなく、ネイティヴ・アメリカン、アラスカの先住民、中南米先住民の血を引くラティーノ(の一部)にも見られる。

 いずれにせよ、アメリカでアジア系がマイノリティであることに違いはない。少数派が虐められるのは悲しいことに世の常であり、よってアジア系は「吊り目」とからかわれるのだ。なお、吊り目は英語で”slanted eyes”と言う。”slanted” 自体は「傾斜した、傾いた」という意味の一般的な形容詞であり、たとえば「壁の額縁が傾いている」といった場合に使われる。”Chinky eyes” も同じく「吊り目」を意味するが、中国人への蔑称  “Chink” から派生してアジア系全般に使われる蔑称であり、メディアでは使用禁止となっている。いずれにせよ、日本語での「吊り目」にもネガティブなイメージがあり、適正な代替表現があればと思う。

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