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既婚者の半数近くが「レス」、私も夫としていない。このまま「父」と「母」で固まってしまうのか?

【この記事のキーワード】

仕事・家事・育児・セックス……ハードすぎる

先にも述べたが、仮に1年セックスレスだからと言って、夫婦間の温度が一致しているのなら別に問題ないと思う。セクシャル・コンタクトがないことについてお互いに不満がなく、家族として信頼関係を保っていられるなら、離散することはない。

しかし双方の思惑が一致していないから問題になり、不満、苦悩が生まれ、離婚にまで至るケースもある。ネット上の質問サイトでセックスレスを悩みとして相談している人たちは「妻(夫)がセックスに応じてくれない」「妻(夫)が求めてくるが応じたくない」などが圧倒的に多い。

日本の民法では「夫婦なら相手のセックスに対する要求に応える義務がある」といった趣旨を定めていて、一方がこれを拒否する場合、またそれが原因で離婚となった際には、拒否した側が調停で不利になるそうだ。元々そこまで性欲が強くない私は、このことを知ったとき、「えええええ!? 行き過ぎじゃないか!?」とびっくりした。もちろん性欲が当たり前にあることは認める。だが「したくない」にはそれなりの理由があるだろう。

私は自分の立場から、「妻(夫)が求めてくるが、応じたくない」「強要される」といった相談内容を見聞きすると、苦しくなる。妻側、特に子育てをしている女性の心の訴えに自分を当てはめてしまう。自分がそうなったらさぞかし辛いし、そもそも結婚生活なんて継続できないとすら思う。

ある女性(2児の子育て中・フルタイム勤務)が投稿していた悩みはこうだ。

『夫が毎晩のように求めてきます。仕事や家事を終え、子供を寝かしつけたら夫の要求に応えなければなりません。クタクタでそんな気分になれず、やんわり断って2日に1度のペースになりましたが、それでも苦痛です。夫が射精するのをただ待っているだけ。早く時間が過ぎろと思います。しかし明らかに頻度が減ったことに夫がキレてきました。夫婦仲が悪くなるのは嫌なので応じるしかないですが、本当に苦痛です』

これでも民法上は夫の主張が正しいと言うのか? と解せないわけだが、こういった類の投稿は本当に多く、見ているだけで気の毒でたまらなくなった。したくない側からすれば、こんな生活、まるで拷問である。仕事・家事・子育ての三本立てがどんなにハードか、1児の母である私もそれなりに理解しているつもりだが、その上で夫の性欲にも日常的に応じなくてはならないなんて……考えただけで「貴重な睡眠時間をどうしてくれる!」と怒鳴り散らしたいところだ。ここまで一方的でハードなケースではないが、子持ちの友人から似たようなエピソードを聞いたことがある。

「夫の誘いに応じるのが面倒くさい」「セックスしたくないから風俗でやってきてほしい」こういったリアルな声もちらほらある。産後の女性は肉体的・精神的な疲れの他にホルモンバランスも大きく性欲に関係するようで、プロラクチンやオキシトシン(母乳育児の場合)の分泌によるものが大きいらしい。また、乳首は小さな我が子に吸われるのが当たり前という意識に変化し、同じ個所を大の男がチューチューしてくる状況自体が気持ち悪いという声も多数聞いた。

そういった「前戯」が気持ち悪いから「挿入のみで」欲求に応えている妻も多いようだ。学生時代から常に性に対し貪欲で、妊娠中も「セックスしてぇ!」と繰り返していた友人Aですら、産後は「したくない」「夫、キタナイ」などと漏らしていたのでおったまげた。Aですら変わってしまうほどのものだから、「女性の心身の変化は相当なものだ」と私は認識している。

私は、幸い(?)夫がセックスが好きではないので(それも元々)、こちらの意に反して「やらなくちゃならない状況」など今後も一切起こらないと思う。性欲旺盛(セックスが好き)なタイプの男性だったら、どんなに思いやりのある人格者でも、前出のようなケースは多かれ少なかれあるのではないかと思う。諦めて家の外で済ませてくるなどして欲求を満たしたりもするだろう。「したくないのに付き合う」のが拷問なのと同様に、「したいのに出来ない」のもまた苦痛だろうなと思う。

もし夫が性欲旺盛なタイプだったら、私たちはきっとそのことで衝突し、妻と夫の双方が心身共に健全な状態で夫婦の関係を維持していくのは産後1年にして難しくなっていたかもしれない。

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