金子恵美議員の「公用車で保育園送迎」問題視と待機児童問題を絡めてはいけない

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ヤフーニュースのコメント欄やTwitterにも様々な“一般国民”の意見が上がっていますが、金子議員に対して批判的なコメントにはいわゆる“待機児童問題”を絡めた論調のものが見受けられます。

「今も解決できない待機児童問題。しかも自民党議員は保育園の心配どころか税金の公用車で保育園送迎らしい」
「議員会館内にある保育所って何? 待機児童問題解決して、じゃあ我々もでしょ。議員の子供より先ず国民の子供でしょ」(原文ママ)

また、「公用車なくすのが一番いいんじゃない」「旦那が送れば?」等の声もあります。

では、金子議員は一体どうすればよかったのでしょう? 母親のことに関しては、タクシーを用意すればよかったと思います。“ついでに同乗”はいけなかったかもしれません。しかし「子どもの保育園の送り迎え」は、議員のみならず働く親にとっては基本的に、仕事とセット(祖父母などに頼める人もいるでしょうが)です。金子議員のブログによると、保育園の送り迎えは家族で分担しているけれど、夫の宮崎氏も仕事があるといいます。金子議員が保育園に送っていく場合、公用車を一切使用せず、自転車や自家用車で、自宅→保育園&議員会館→霞が関(自身の職場の総務省)のルートを自ら運転して行けば良かったということなのでしょうか。公用車を使う権利があっても、固辞すれば良かった、そうすれば批判を招くことはなかった……と。少なくとも東国原氏はそうお考えのようですね。

公用車の存在自体を批判するコメントもありましたが、一般企業でも自動車移動が必要な業務のある会社は社用車を用意しているわけで、今回の問題の本質から外れるものではないでしょうか。もちろん高級車である必要はないでしょうけど……。今回の出来事を批判する声からは、議員をことさら特別視する風潮のようなものを感じなくもなかったです。

議員会館内に保育園があること自体を批判する向きもありますが、日本は諸外国と比べて女性の政治参画が周回遅れレベルの(女性議員がものすごく少ない)国です。20171月時点のデータで、日本の女性議員率はわずか13.10%191カ国中142位の低さで、先進国らしからぬ衝撃的な数字です。そんな日本において、議員会館内に保育施設が設けられたことは、貴重な第一歩です。ちなみに衆議院第二議員会館内の保育園(東京都認証保育所)が開設したのは20109月でした。

「議員は金があるんだからシッターを雇えばいい」という声もあるかもしれませんが、では実際にシッターを雇って子育てをした場合、「国民の血税で贅沢な子育てしやがって」と批判されることもあるだろうな、とすぐ思い至ります。そもそも議員だからといって自分の子供の育児方針を強要される言われもないし、待機児童問題が解決するまで議員の子供は保育園に入っちゃいけない(一般国民のほうが優先順位が上)ということもないと思います。

とはいえ、私が今、そんな風に思えるのは、自分の子供がたまたま保育園に入れているからなのかもしれないし、実際、子供の保育園入園が決定するまでは神経を尖らせていました。子供が0歳の頃は家で育児をしていましたが、来年保育園に入れるか否か、常に不安でした。あの不安さえなければもっと安心して赤ちゃんである時期の我が子との時間を楽しめたかもしれない、と今でも思います。待機児童問題絡みの報道が子供が、保育園に入れた親と入れなかった親との対立を煽っているんじゃないのかと憤ったこともあります。現在進行形で待機児童問題に直面している親が、ともすれば金子議員の行動をずるいと感じてしまう可能性は否定できません。でも、だからこそ今すべきなのは、金子議員をはじめとする育児中の議員たちの待遇を悪くして苦労させる……ことではありません。金子議員がしているように、子供を預けて働くことが、誰でも出来るように社会を整備していくこと。足を引っ張り合うような真似はやめましょう。

奇しくも金子議員の公用車私用疑惑記事が出たのと同じ629日、<保育士の約9割が「国の施策はズレている」と回答 「現場を知らず何がわかる」「20年働いても基本給は18万円未満」>という記事を目にしました。

保育士求人サイト「FINE!保育士」が、会員登録中の保育士と保育士希望者に実施したアンケート「国や自治体の保育士不足に対する政策について」を行ったところ、国の施策について、保育従事者の93%が「ズレている、効果がないと思う」と回答していたそうです。また、保育士の待遇改善については、62.2%が「まったく感じない」、22.8%が「あまり感じない」。国や自治体の保育士不足に対する政策で不満なこととしては、266人が「賃金アップの額が少なすぎる」と回答。その一方で、「待遇が改善されたり、休みが取れやすくなったり、現場が他の職種並みに働きやすくなるとしたら『保育士は魅力がある・やりがいがある仕事だ』と思いますか?」という質問には、65.3%が「とてもそう思う」、28.6%が「まあまあそう思う」との回答結果が出ています。保育士という職業がもっと評価され、待遇改善を図ることで、現場の保育士たちのモチベーションも上がることが窺えます。

政府は、2020年度末までに待機児童をゼロにすることを目標にしていますが、201641日時点の全国の待機児童数は2万人以上。保育士不足を解消しなければ待機児童は減らず、保育士の待遇改善をしっかり行わなければ保育士は増えないでしょう。今見つめなければいけないのは、イチ育児中議員の送り迎え事情をクローズアップしての政権批判ではなく、保育業界および子どもを取り巻く環境の改善なのではないでしょうか。

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