兵士・警官・ジャーナリスト~女性の社会進出と高まるリスクのバランス

文=堂本かおる
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殉職したミオソティス・ファミリア警官(NYPDより)

殉職したミオソティス・ファミリア警官(NYPDより)

 7月4日、アメリカ独立記念日で賑わうニューヨークのブロンクスで女性警官が射殺された。

 毎年、独立記念日にはマンハッタンで名物の盛大な公式花火大会が開催されるが、市内あちこちで一般市民による違法な打ち上げ花火もおこなわれ、かつ多くの人が飲んで騒ぐ。違法のドラッグを使い、銃を持ち歩く者もいる。そのため、NYPD(ニューヨーク市警)のアンチ・クライム・ユニットと呼ばれる課がブロンクスの街角に本部機能を搭載したバス型の警察車両を出動させていた。当夜、その車両に乗り込み、勤務していた勤続12年の女性警官、ミオソティス・ファミリア(48)は、真夜中を過ぎて日付が5日に変わった後、路上にいた男に突然、撃たれた。

 男はすぐに他の警官に射殺されたが、犯行動機も不明で、現場は大混乱となった。2日後にようやく報道された男の経歴によれば、男は精神を病んでおり、事件のわずか4日前に精神科を訪れていた。男の恋人によると、男は「警官と救急隊員が自分をつけている」という妄想に取り憑かれていたという。

 つまり男にとってターゲットは警官であれば誰でもよく、ファミリア警官は個人として、もしくは女性として狙われたわけでない。職務中に「警官」として襲われ、殉職したのだった。

 現在、NYPDには総勢約36,000人の警官と職員がおり、うち17%にあたる約6,000人が女性である。職務内容に男女差はほぼ無く、ファミリア警官も事件当夜は、時には麻薬組織や凶悪犯とも対峙するアンチ・クライム・ユニットと共に勤務していたのだった。

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