
Photo by 赵 醒 from Flickr
関西から友達が遊びに来るたび、私(いち上京女子・ライター)は「列」に並ぶことになる。日本初上陸だというポップコーンやパンケーキを食べるためだ。
それらは、「東京でしか食べられない」というふれこみのものなので、東京に遊びに来ている友達は、「滞在中に絶対行きたい!」と考えるらしい。
一方、私にとって、東京にいることは日常で、いつでも行ける環境ゆえに、いつか行こうと考えているうちに閉店している、なんてこともザラだ。
地方から出てきて、東京の生活が当たり前となり、もう上京したての頃のようなワクワクやドキドキはとっくに消えてしまっているけれど、私はまだ、東京にいる。
この連載では、私と同じように「どこかから上京し、そしてまだ東京で生きている」そんな女性たちの声に耳を傾ける。
今日の上京女子/ 愛華(仮名) 29歳
愛華の部屋以上に女の子らしい部屋を見たことがない。来年30才になるというのに、ピンクを基調とした室内には、ディズニーやサンリオの可愛らしいキャラクターが溢れ返っている。
部屋の主も、そんな室内にふさわしいピンクが似合う、一見高校生のようにも見える女性だ。
女子高育ち。ロシアの大学院に進学
愛華と私は、中学で出会った。私たちは中高一貫の女子高に通っていた。
当時の私は、日に焼けるのが嫌だったので日傘をさして登校していた。日傘をさして登校している生徒は珍しかったのだが、私ともうひとり、いつも日傘をさして登校している生徒がいて、それが愛華だった。在学中はそこまで親しかったわけではないが、密かに親近感を抱いていた。
愛華は苦楽園(兵庫県の高級住宅街)の総合病院の一人娘として生を受けた。父親は整形外科医、母親は専業主婦で、何不自由なく育った愛華は、大学までを兵庫で過ごした後、ロシアの大学院に進学する。愛華は小さい頃からバレエを習っていて、現在も週2でレッスンに通っているほどのバレエ好きだ。
「バレエも見れるし、そのままロシアで就職しよっかなって思ったけど、ロシアって物価が安いかわりにお給料も安いし、やっぱり日本に帰ろって思って」