
『日本の男を喰い尽くすタガメ女の正体』(講談社+α新書)
「多くの日本人男性は、「男女同権」の名の下に日々、社会的には女性を排除しつつ、家庭内では体液を吸い尽くされているのです。」
これは7月10日にダイヤモンドオンラインに掲載された安冨歩東京大学教授の「日本の男が「妻に嫌われ金ヅル扱い」の末路を辿りがちな理由」という記事の一節だ。
安冨氏は、「不倫した夫の機嫌を損ねたくないのは月々の生活費が減額されると困るから」と語る妻が登場するダイヤモンドオンラインの他記事を参照しつつ、日本社会は愛情がなくなっても離婚しにくく、その原因は「カネ」の一点に集約されると述べる。そして社会的活躍の場が与えられない現代で女性は、深尾葉子氏のいうところの「タガメ女(夫を搾取する妻)」となって「カエル男(吸い尽くされる夫)」から吸い尽くすほかないのだと続ける。冒頭で紹介した一文は、こうした文脈の中で使われている。
この記事の安冨氏の主張をまとめると以下の通りになる。
「男性は戦前、社会的機能(仕事とそれに伴う社会的責任)を背負う代わりに家庭内では女性より上の立場にいた。現在は女性の社会進出は遅々として進まない一方で家庭内では男女同権を強いられている。そして女性は、社会的機能を背負うことなく家庭内で男女同権を享受している。現代は男性に負担が集中する構造になっている。この元凶は、女性の社会進出を拒む男性自身にある。だからこそ女性の社会進出を本気で進めなければならない。男性は意識を変えなくてはならない」
強烈な違和感を覚えないだろうか。
1 2