夏休み、はしゃぐから性被害に遭う? 児童向けの「警告」だけではなく「児童を性的対象として扱わない」ことの啓発は…

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誰に警告を出すのか問題

▼内閣府/青少年の非行・被害防止全国強調月間

 昨年度の政府取り組み結果を見てみると、いわゆる「広報啓発」の活動がとても多い。啓発ポスターの掲示、リーフレット配布、メールマガジンの発行……あるいは、「子どもの人権110番」等、児童自身がSOSを出せる機関の設置(これは7月だけでなく通年設置しているのだが、取り組み結果に記載されている)、犯罪・非行防止を目的とした講演会やシンポジウムの実施。児童を対象としたもの、あるいは身近に児童がいる大人を対象としたと思われるものがほとんどである。

 広報啓発の内容も「夏休みに入る前の非行防止対策等について呼びかけ(首相官邸LINE)」、「少年非行防止、スマートフォンへのフィルタリングについて呼びかけ(新聞突き出し広告)」等、児童が非行に走ることを防止する趣旨のものが多い。少なくとも、児童を危険に巻き込もうとする大人への警告や啓発を行う活動は見当たらないのである。

 大人は善悪や危険の判断が自分でできるはず、できない大人に対して警告や啓発をしてもムダ、ということだろうか。JKビジネスやドラッグは裏社会の組織が関わる商売であり、一般市民を啓発したところで意味がない……と考えられている可能性もなくはない。だからそうした裏社会に関わらないよう、児童を啓発するにとどめているのかもしれない。

 しかし、JKビジネスや出会い系サイトを経由した性犯罪、援助交際といった事件において、児童を「買う」立場にいるのは、その一般市民であり、善悪や危険の判断ができるはずの大人であろう。

 内閣府による平成29年度「青少年の非行・被害防止全国強調月間」実施要綱には、<被害の現状については,児童ポルノ事件の被害児童数が過去最多となったほか,抵抗するすべを持たない低年齢児童を被害者とするなどの悪質な性犯罪事件も後を絶たず,加えていわゆる「JKビジネス」等,児童の性に着目した新たな形態の営業が次々に出現するなど,子供の性被害は深刻な状況にある。>と記載がある。

 また、ひとつめの重点課題として『子供の性被害の防止』をあげており、そこには<「子供の性被害を絶対に許さない」という国民意識を高め,被害の予防・拡大防止,被害児童の保護・支援等の取組を推進する。とりわけ児童が児童買春,児童ポルノ,いわゆる「JKビジネス」等に係る被害を受けることのないよう,学校や関係機関を通じて児童やその保護者を始めとする社会全体に対して,性の逸脱行動や被害の現状,諸規制等について積極的な広報啓発を行う。>とある。

 被害を防ぐために、社会全体に対して積極的な広報啓発を……とのことだが、件のポスターをはじめとした一連の広報活動によって「子供の性被害を絶対に許さない」という国民意識は高まるのだろうか。続けて<また,インターネット関係事業者や風俗営業所,飲食店等に対し,青少年の福祉を害する違法行為がなされないよう,関係法令の周知徹底を図るなど必要な働きかけを行う。>ともあるが、児童とその保護者、および事業者側への働きかけをしても、加害者となり得る大人たちに向けて「その行為は違法です」と伝える動きはなさそうである。

 本来、加害者となり得るすべての大人たちに向けて「児童を性的対象として扱ってはならない」ことを積極的に周知していく必要があるのではないか。

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