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新米ママがうれしさを覚える瞬間~色んな意味で“聖地”超難関スポット「児童館」で4時間過ごしてみた

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「ママ友」の聖地に足を踏み入れる

たかが1時間弱の催しだったが、決められた場所で集団行動のようなことをすれば、どのお母さんも赤ちゃんも疲れてぐったり。
いったん仕切り直しをしてから帰りたいと皆思うのか、隣の広いホールにぞろぞろと入っていく。

このホールが本当に広く、大人が十分走り回れるスペースがあったのだが、ふと見渡すと「お母さんのかたまり」がいくつか存在していた。

これがまた、お母さんのジャンルごとに分かれているのが実に興味深い。

地味めな色合いの服装をしたお母さんたちが静かに固まり、体格が良くやたら大声で笑う“ノリ全開”体育会系な集団、可愛くヘアアレンジをしてお洒落なカットソーを着ておしゃべりしている “イケてる”ママグループ……元々出来上がっていた友人グループなのか、子供の行事で知り合った同志なのかわからないが、どういうわけか「同じ類」ではっきり分かれているように見えた。

お、これが“ママ友”か!? と少し苦手意識が発動したものの、息子をいったん床に降ろすと、一息つく間もなくあちこちに行ってしまう。

広いスペースが嬉しいのか、ちょっと妙な奇声を発しながら「よちよち走り」で酔っぱらいのように右往左往。

いちいち息子の後を付いていくとキリがないので、ある程度無難なスペースで腰を下ろし、しばし見守る。

「いま、何カ月ですか?」

近くにいたお母さんにいきなり声をかけられた。

どきいぃぃっ!! としたものの、ここは児童館。私の苦手なごきげんよう文化の聖地といっても過言ではない。

「今、1歳1カ月です~」

そこまで1ターンのやり取りを済ませれば、あとは大体決まっている。

「元気ですね、かわいい~~」そんな調子のことを言われたのだが、あれ? なんだろう、あまり苦手じゃない。そのお母さんは上のどのグループにも属してる感じではなく、子供の集団から少し離れた位置で一人座っていた。

話を聞くと、息子と同じ1歳1カ月の男の子のお母さんらしく、周囲を見てみると他にもハイハイやよちよち歩きができる(移動ができる)月齢の子のお母さんはポツポツと一人で座っている。

集団で輪になっている“ママ友”達は、まだ移動できない赤ちゃんを横に寝かせているから「ママ」達が動く必要がなく、一箇所に固まっていられる。動き回る、歩き回るようになった子を持つお母さんは常に移動の連続。たまたま行き着いた先で私と出会ったのだった。

「1歳の誕生日は何しましたか~?」「本当、1年あっという間でしたよね~…」

そんなやり取りをしながら、産院も一緒だったことが発覚し、思わず会話が弾んでしまう。

家がすごく近くだとか、息子の誕生日に旅行に行った(地方の)ホテルが一緒だったとか、物凄い偶然ばかりでお互いにテンションが上がり結構長いこと話し込んでいたが、そのお母さんは子供が別の場所に移動したのをキッカケにあちらに行ってしまった。

そして、行き着いた先で今度は別のお母さんと親しそうに会話している。

中学時代にネガティブ思考が一致しクラスの女子と友人関係に発展した時とも、専門学校時代に野球好きトークで盛り上がり隣の席の子と友達になった時とも違っていて、どんなに親しく話そうが偶然が重なろうがあくまで「その時」は「その時」。

「ママ友とは一線を越えるものではない」なんだかそれでいいような気がした。

自分の性格的に、他者との関係性は「すごく近しい」か「他人」かどちらかしかないので、この時の私は何ともいえない初めての感覚にすこし戸惑っていた。

予測不可能な幼子どうしのぶつかり合いに親は……?

息子は好奇心旺盛だ。おもちゃを手にしながらすぐニコニコよその子供に近寄っていく。

相手の子も同じ温度でニコニコ遊べればベストだが、人見知り全開の子は泣き出したり、距離感が上手く取れなくて乱暴な手段に出たりする子もいる。

小さな小屋のようなものの中に同じ月齢くらいの男の子が入っており、息子がニコニコその中に入って男の子の隣に立って並ぶと、男の子はいきなり息子の顔を押し、息子はそのままズテンと後ろにコケて壁に頭を派手にぶつけた。これは痛い。

「うわぁぁ~ん!!」とボロボロ泣きながら小屋から出てくる息子。笑顔で入っていったのに泣きながら出てきた。何だか切ない。

もちろんその男の子に悪意があったわけではないだろうが、小さな子供同士が近い距離感で遊びを共有しようとすればこういったことも出てくる。

さっきの“イケてる”グループに所属してたお母さんの一人がバタバタと近寄って「すみません~!!」と詫びてきた。

「大丈夫です、大丈夫です~!」とにこやかに返す+(息子に対して)「痛くない痛くない!」、私にはこれぐらいのことしか思いつかなかった。

というか、謝られるのもなかなか気を使う。たぶん結構痛いやつだったし、相手のお母さんからすれば冷や汗ものだっただろうが、それが分かるだけにこちらも「大丈夫ですよ」を伝えるのに「ほんとに!ほんとに……!」レベルのテンションでいかなきゃいけない。

親同士、双方が何だか「はわわわわ……!」という状況になってしまった。

こんなにたくさんの幼い子供たちが一度に遊びを共有する空間なのだから、こういったことは日常茶飯事で起こるのだろうが、自分の息子が「泣かせる側」になってしまったらどうしよう。

前に一度だけ、生後6カ月ぐらいの子にニコニコ近寄っていき、人見知りで「うわーん!」と泣かれたことはあった。

その時は直接的な「攻撃」をしたわけではないし、その子のお母さんに詫びながら「ほら、そんなズケズケ行ったらおともだち怖いってよ~!」と息子に窘めるぐらいでOKだったが。

でももし他の子を突き飛ばして大泣きさせてしまったら……。その場ではお母さんに謝りながらその子の身を案じることぐらしか答えはないのだろうが、笑顔で「大丈夫ですよ~」と返してくれるお母さんも内心「え……! 大丈夫……!?」とハラハラしているかもしれないし(これがあるから、やられた時に“本当に大丈夫”に見える振る舞いをしなければいけない)、実際に後から症状が出て大けがだったことが判明したとか、絶対ないとは言えないし……。

そんなことを考えてしまったらたぶん眠れない。やっぱり「攻撃を受ける側」のほうがマシだ。

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