「シャイ」は許されない?~みんなの前で「好きなもの」を発表するアメリカの “Show and Tell”

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アメリカと日本の国民性

 国民性に違いがあることは考慮しておくべきかもしれない。アメリカにも「シャイ」な子供はいるが、シャイの種類が日米で異なる。普段は口数が少なく、おとなしい子供も、たとえばマクドナルドで間違ったメニューを出されると、はっきり「違う」と言う。ショー・アンド・テルなどで鍛えられる部分も大いにあるが、就学前にすでに親を含む周囲の大人の自己主張振りを見て、自然に吸収しているのだと思える。

 筆者はアメリカに長年暮らしても、やはりメニューを間違えられても「ま、これくらいいいか」的な態度を取ることがある。しかし夫はアメリカ人であり、仕事上であれ、個人的なことであれ、「自分にはこれが必要/不要」をはっきりと口にする。子供の頃の「自分が好きなものは好きと言う」教育が転じてのことと思える。

 息子はそれを見て育った。したがって息子もシャイではない。幼稚園の頃、ショー・アンド・テルも大好きで、自分の番ではない日にもオモチャを持っていこうとしていたことを覚えている。現在、中学生となった息子は、得意な学科に限るとはいえ、クラスでのプレゼンテーションは好きだ。去年、学校のイベントで、息子を含むクラスメート3人が近隣の大学に出掛けて大学生の前でプレゼンテーションをおこなったが、3人とも「恥ずかしい」という気配は微塵も見せなかった。

 ちなみに筆者は渡米直後、ある大人しい男の子の親に「おたくのお子さん、シャイですね」と何気なく言い、気分を害されたことがある。その子のお母さんは、「いいえ、彼はシャイじゃないですよ」とはっきり反論してきた。アメリカ人の中には、シャイとは「自己主張が出来ない弱い人間」と捉える人がいるのだ。

 ニューヨーク市の教育庁が出している教育指針の「言語」(国語に相当、アメリカでは英語)のページには、以下のようにある。

Pre-K(3/4歳児)
学年度の終わりまでに全員ができるようにすること:
多彩な話題、経験、アクティビティについて、大人や友だちと会話

キンダー(4/5歳児)
学年度の終わりまでに全員ができるようにすること:
いろいろな目的(新しい情報を説明し、話し合う/質問をする/アイデア、考え、感情を表現する/想像力に富んだ会話と社会的な交流)のために話す

 こうしてアメリカの子供たちは、否応なく「自己主張」し、かつ「シャイではない」人格に育っていくのである。
(堂本かおる)

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