夫がだらしないのは妻のせい? 夫の成功は妻のおかげ? 内助の功という信仰

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旦那の自己管理能力を奪う素敵な奥さん

 Googirlには、同じ価値観に基づき、これとは逆説的に、しかしほぼ同じことを書いた記事もあった。

旦那さんの職場で「素敵な奥さんですね!」と褒められる! 気遣いポイント(女子力アップ Googirl

 気遣いポイントはこの3つ。

(1)旦那さんの身だしなみに気を遣う

(2)旦那さんの健康管理に気を遣う

(3)職場の方への気遣い

 具体的には、<旦那さんが帰ってきたら、まずスーツをハンガーにかけ、目立つ汚れがないかチェック>し、<消臭スプレーをするなどのケア>をし、さらに<朝出かけるときには、もう一度身だしなみ全体を確認してあげると、確実です>。革靴には<シューズキーパーを入れたり、きちんとクリームを塗って磨いてあげる>。<旦那さんの健康管理をしてあげるのも、大切な役目>で、<お弁当を作ってあげたり、風邪気味の旦那さんには、仕事場に持っていけるような薬やマスクを用意してあげる>。また、<家で話を聞いてあげることや笑顔で送り迎え>して、旦那さんの心の健康にも気を配る。家族旅行をしたら、<旦那さんの職場の方へのお土産のお菓子を選んであげましょう>(男性はお土産を忘れたり、どんなお菓子が喜ばれるか気が回らないから)。

 北風と太陽というか、1本めの記事は「だらしない妻と思われたくないでしょ?」と脅してやらせようとしており、2本めの記事は「もっと良い妻と思われたらうれしいでしょ!」と鼓舞するパターンだ。

 こうした「妻としての行動」は<本当に“ちょっとした気遣い”なので、もう普段の生活で実践している方も多いでしょう>とのことだが、果たして毎晩毎朝のスーツチェックや、夫の薬やマスクの用意が、“ちょっとした気遣い”で済まされるのか……。ちょっとしたことだというならば、夫に自己管理するよう促せないものだろうか。

 ちなみに今回紹介した2つの記事「だらしない妻」「素敵な奥さん」と、以前紹介したマイナビウーマンの記事「夫からも義両親からも『理想の嫁』だと思われるためには」の内容は、ほぼ一致している。優しくて気が利いて料理上手な女性にこそ、妻になってほしい……というわけだ。

金妻の生活スケジュールは「夫中心」

 今年4月にこんな本もリリースされた。離婚カウンセラー鈴木あけみによる『夫を、金持ちにする妻、貧乏にする妻』(秀和システム)は、妻次第で夫の稼ぎは上昇するという時代錯誤も甚だしいテーマを掲げている。ブラック企業や貧困問題を一緒くたに「妻」のせいにしてしまう誤解を招きかねないタイトルでもあると思う。

  カバーのイラストからして、金妻(夫を金持ちにする妻)はフェミニンな清楚系、貧妻(夫を貧乏にする妻)はカジュアルでボーイッシュと、“いかにも”。ページをめくると「貧乏で苦しんでいるのは、夫ではなく、貧妻さんであるあなたのせいです」と太文字で堂々記され、結婚してからは夫をニックネームではなく「相手を尊敬した呼び方」に変え、出勤前にゴミ出しは頼まない、といったそれこそ細かいアドバイスが満載だ。

 そこで描かれる妻の生活は、夫中心である。定期的な休みを取ってもらう約束を取り付けて「束縛」しないように、ともあるのだが、その理由を著者は「仕事内容によっては、休日返上で働かなければいけないこともあるのが、男の世界です」と述べていて背筋が凍りつく。長時間労働をしているのは男に限った話じゃないとも言いたくなるが、それ以上に“休日返上で働かなければいけない”というおかしな状況を“男の世界”という言葉で肯定してしまっている点も、とことん2017年の日本を見ていないように思う。

 極めつきの5章では、「金妻が実践しているあなたにもできる5つのプロデュース方法」として、妻は夫の健康・メンタル・金銭・人脈・外見に気を配るべしと、ずらっずら並びたてる。

 ここまでしなければ成功できない夫、って何なんだ? そもそも夫が仕事で特段成功しなくても別に良いのでは?

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