高齢になって住まいを賃貸できなくなると困るから、家を買いたい。けれど“今”じゃないのかも。

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 家を欲しいと思った人なら、「今は家の買い時か、そうでないか?」という疑問を必ず持ったことがあると思います。本連載でも、「さくら事務所」の不動産コンサルタントさんに同じ問いかけを幾度となくしてきました。

家を買い隊が始動した2017年1月の時点で「今の不動産価格は天井で、2018年には変動があるかもしれない」という予測を聞き、大きな指針となったものです。もちろん、世界の経済状況は刻々と変化するので、現時点ではまた違う予測が立っている可能性もあります。しかしさまざまなメディアや分析を見ても、都内の不動産価格が現在かなり高い水準で推移していることは間違いないでしょう。

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 ならば不動産を買うのは止めるのか? 前回取材したあいさんは、投資対象として見た場合はあまり魅力的ではないと判断したそうです。しかし今回、取材したかおりんさんは「それでも家が欲しい」と言います。それは一体なぜなのでしょう。

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かおりんさん、34歳。

【プロフィール】
神奈川県川崎市のマンションでひとり暮らし。シングル。企業で商品企画の部署に勤務。年収600万円ほど。かおりんさんの自己紹介は▼こちら▼から。

住み替えるけど、賃貸で

かおりんさん(以下、かおりん):家を探している真っ最中ですが、今回は分譲ではなく賃貸で住み替えようと思っています。今のマンションに住んで4年になりますが、狭かったりコンロが2口しかなかったりと不満が多かったのです。

ーー今回は……ということは、賃貸派になったというわけではないのですね。

かおりん:いずれは家を買いたいです。連載に参加して、家は持っていれば資産になることがわかりましたし、自分が年をとっても変わらずに帰れる家があるっていいなあと思いましたから。

ーー連載に参加して、考え方は変わりましたか?

かおりん:そうですね。それまで住まいに関して深い考えはなかったのですが、高齢者の住宅問題などのニュースが目に飛び込んでくるようになりました。シニアと呼ばれる世代になると賃貸で借り続けることが厳しいという現実を知ったので。家を買うと、固定資産税などの負担もある一方で終の住処があるのは安心だろうなと考えるようになりました。

ーーただ、連載では不動産価格が現在高止まりしていることも、お伝えしました。そのことについてはどうでしょう。また、少子化により空き家が増えていく将来を考えれば、私たちがシニアになる頃には借り手がつかない不動産が増えるわけですから、老人でも住める家は見つかりそうです。

かおりん:うーん。でも自分が借りている部屋が、老人ウェルカムになるかはわからないですよね。もしもほかに家を借りられたとしても、シニアになってから住み慣れた部屋や街を出るのは厳しいんじゃないでしょうか。年をとってから、更新のたびにドキドキするなんて嫌です。

ーー確かに。住めればどこでもよいというわけではないですね。シニアになってからの引っ越しなんて、しんどいですよね……

職住近接にはこだわりたい

ーー賃貸で探されているのは、どんな部屋ですか。

かおりん:狙っているのは、神奈川県ですね。駅でいうと、東急東横線の新丸子や元住吉。東京の都心にも神奈川の中心である横浜にも距離が近い割には、家賃が手頃。また昔ながらの商店街がありながら、適度に再開発も進んでいるので、これからバランスのよい街になっていきそうです。

ーーほどよく郊外でアクセスのよい街が希望と。

かおりん:はい、なかでも交通の便のよさが一番ですね。私はこれからも働き続けていくと思うので、通勤が苦痛になるようなロケーションは選びません。もしも将来結婚して子どもが生まれても、その条件は変わらないと思います。きっと子どもが生まれたらなおさら職住近接が大切になってくるでしょう。家事や育児と会社員生活を同時にこなすには、通勤時間を削れるに越したことはないですから。

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