クール・ジャパンは「B級カルチャー」をプッシュせよ!〜アメリカを席巻する絵文字うんち&袋麺

文=堂本かおる
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ラーメン・ブームの真実

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 アメリカ、特にニューヨークのラーメン・レストラン・ブームは日本でも報じられている。アメリカ人にとっては新しい味、日本人にとっては懐かしい味……というわけで、皆さん行列を作ってラーメン一杯に15ドル、ヘタすると20ドルも払っていらっしゃる(さらにチップも払う)。当然、美味しい。チャーシューもたっぷり入っている。

 しかし、アメリカにはラーメン・ブームのはるか以前から、こっそり地味に、だが全米レベルで隅々まで浸透しているラーメンがある。ザ・袋麺である。

 どこのスーパーにも置いてある。Maruchan Ramen Noodle Soup、Nissin Top Ramen が2大メジャー・ブランドだ。両社ともにさまざまなフレーバーを出しているが、基本は「ビーフ味」。続いてポーク、チキン、シュリンプ、チリ、オリエンタルあたりが売れ筋のようだ。ニューヨークでは通常価格1ケ59セント程度。12ケ入りのパックもある。

 以前、筆者の夫の甥っ子(当時、中学生)が我が家に泊まりにきた際、「お腹すいたから自分でラーメン作っていいかな?」と言う。どうぞ、勝手にやってちょうだいと返すと、小鍋に水を張り、いきなり麺を放り込んだ。「な、なにしてんの?!」と声を上げると、「めんどくさいから、これでいい」と言う。やがて水は沸騰し、麺は煮え、甥っ子は満足そうに食べた。

 袋麺は塩分とカロリーが高く、満腹感が得られる。アメリカン・ジャンクフードの王道規格にぴったりとマッチしてしまったのだ。しかも自分で調理することを厭わなければファストフードの10分の1以下の値段である。浸透しないわけがない。

 ゆえに袋麺は「ゲトー・ヌードル」(貧乏人のヌードル)とも呼ばれ、さらには刑務所の収監者の間で「代用通貨」として流通しているのである。その証拠に『Prison Ramen』なるレシピ本も出版されている。著者は元囚人だ。最初のページは具を載せない「素ラーメン」。「スープが美味いので十分だ」と書かれている。日本製品が非常に高く評価されているのである。嬉しい(のか?)。

 その一方、オシャレ&高級&グルメで知られるニューヨークタイムス紙のレシピ集にも、なんと「パーフェクト・インスタント・ラーメン」なるページがある。こちらは麺にタマゴ、バター、チーズ、ゴマ、ネギを載せるとある。

B級ジャパン・カルチャー

パーフェクト・インスタント・ラーメン

 絵文字うんちにせよ、インスタント・ラーメンにせよ、日本政府が「クール・ジャパン」と称して堂々と自慢したいモノでは決してないだろう。しかし、どちらも微妙な何かがアメリカ人のツボを見事に突いてしまったのだ。ゆえにアメリカ人は絵文字やラーメンを「ジャパニーズ」とは意識せずに使い、食べている。異文化が他国で完全に受け入れられた証だ。

 だが日本製、日本文化と認知されないのであれば、それは日本を世界に広めたいクール・ジャパンの目的に反する。そこで提案だが、B級グルメならぬ「B級ジャパン・カルチャー」部門を新設するというのはどうだろう?

 自国内ですらヒット商品を生み出すのは並大抵でない。それが外国となるとなおさらだ。だからこそ新規にあれこれ考えるより、すでに浸透しているモノを利用するのだ。

 絵文字うんち、インスタント・ラーメンを筆頭に、日本製とは知られていないB級日本製品やカルチャーを「ジャパン」の看板の下、堂々と押し出すのである。もちろん伝統文化部門、ハイカルチャー部門はそのまま続行し、並行してB級部門も突っ走らせるのだ。ちょっと生煮え感のあるアイデアではあるが、さて、いかがか。B級ジャパン・カルチャーのキャンペーン推進キャラクターは、これもハロウィンの仮装コスチュームとして子供たちに1000%浸透しているにもかかわらず、いまだに「ジャパン?  チャイナ?」と混同されている<ニンジャ>で、どうか夜露死苦(←これもTシャツとかにするんだよ)。
(堂本かおる)

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