ライフ

迷惑視される「子連れ外出」 でも大丈夫、身構えすぎないで街へ出よう

【この記事のキーワード】

子連れ外出は肩身が狭い?

 この話題が盛り上がる少し前、812日にも同様の話題ツイートがあった。どこかの飲食店の玄関先に、『躾(しつけ)の全くできていない騒々しい子供さんの入店は他のお客様のご迷惑となりますので固くお断り申し上げます』という断り書きが貼ってあるそうで、それを撮影した画像を載せたツイートが好意的に拡散されていった。先に紹介したカフェの件以上に反響の大きかったこちらのツイートには、815日時点で42千件以上のリツイート、および53千件以上のいいね!が付いている。単純に受け止めれば、「うるさい子供の入店禁止は良いこと」と思っている人間が5万人以上いるということになるわけで、幼い子を持つ親としては怯む。

 子連れの振る舞いをめぐっての論争は別段珍しいことではなく、むしろ折りに触れてあちこちで白熱の議論が繰り広げられている印象だ。今回のような「子連れ外食」の場合、“最近の親はなっていない論”に加えて“そもそもカフェや居酒屋に子連れで来ること自体間違っている”との主張が必ずといっていいほど出てくる(大人の居場所と子供の居場所を明確に分けることの是非はともかくとして、じゃあ子供の世話を担っている時期の大人は……と思わなくもない。およそ10年くらい我慢すべき、という感じなんだろうか)。

 子連れ客に非寛容な人たちの言い分は、おそらく、子連れはうるさい、子連れは自己中心的(=子供最優先)で、店員や他の客など周囲にとって迷惑だから、というものであろう。確かに「子連れ外食」にそういう側面があることは否定できない。個人差も大きいが、子供はちょっと珍しい場所に来ただけで興奮する。はしゃいで騒いで奇声をあげる。落ち着きがなく、椅子やテーブルに乗っかったり、あるいは店内を走り出したり、寝転がったり。料理が届いたら届いたで、こぼすし汚す。気に入らないことがあれば泣いたり怒ったりぐずったり。

 私の姉には子供が3人いて、何度か一緒に外食したことがあるのだが、ほぼ毎回どこに誰が座るかで揉めてケンカになっていた。で、そういった子供の行儀の悪い振る舞いに、親も苛立ってつい大声を出してしまったりする。さらに親が叱れば素直に言うことを聞いて大人しくなるというものでもない。親は社会常識をしつけているつもりでも、幼い子供は自分自身の感情を制御できなかったり反抗したりして当たり前だろう。そもそも「子連れ」というだけで、2人なのに4人席に案内してもらったり、取り皿やおしぼりを多めに用意してもらったり、店側や非子連れの客にしてみれば“コスパが悪いのに何かと得をしている奴ら”、と映る場合もあるかもしれない。

 そうした側面があることは仕方がないので、子連れ外食する以上は、大人も注意を払うべきではある。大人だけで会話に夢中になって子供を放置してはいけないし、もし子供が店や他の客に迷惑をかけたらきちんと謝る。また、場合によっては、事前予約を行って子連れであることをあらかじめ店側に伝えておく必要もあるだろう。

 ……が、親がアレコレと予測して根回したからといって、迷惑をゼロにできるわけじゃない。迷惑を減らすことはできても、迷惑を一切かけず誰にも一切の不快感を与えずに子連れ外食を済ますのは難しいのだ。これは食事に限った話じゃないが、子連れで外出する時は、一応「ああなるかも」「こうなるかも」「これ必要かも」とシミュレーションして支度をする。電車で退屈してぐずるかもしれないからおもちゃを用意、食事の際にこぼすだろうから蓋つきのマグカップを用意、といった風に。飲食店で席に案内されれば、子供が破いたり壊したりしそうなものは前もって「下げてください」と頼む。親だってなるべく周囲に迷惑をかけたくないと思っているのだ(子供が周囲に迷惑をかけている状況は、すなわち親にとっても疲れる状況だから……)。

 店側が客層を選ぶのは自由だし、カフェアカウントがツイートしたような非常識な客が糾弾されるのもわかる。けれど一方で、周囲に迷惑をかける人を「迷惑だから」という理由で拒絶することと、非常識客お断りとは、別で考えたほうがいいとも思う。杞憂かもしれないが、迷惑を拒絶する風潮が今以上に高まれば、子連れだけでなく、高齢者や障害者や外国人、あるいはアレルギーを持つ人だって「迷惑だからお断り」が成立しかねない。そういったことを考えると、やはり今回のような子連れ全体が毛嫌いされるようなツイートの拡散は、憂慮に堪えないものだ。また、日本における公共のルールやマナーは、必ずしも明文化されておらず、「しきたり」「暗黙の了解」「空気を読む」でうっすら共有され成り立っていることも多いわけだが(普通、こういう店に子供を連れてこないでしょ、など)、個々の感覚が違うがゆえにトラブルになることもあるわけで、このあたりの共通ルールは明確にしてもよいのかもしれない。

 ただ、冒頭で記したように、子連れで行きやすい飲食店は沢山ある。子連れ外出は前述のような準備のうえで臨んでいる親が多いとも思う。今回のようなツイートが拡散されたことで、子連れ外食に対して億劫な気持ちになった親も少なからずいるかもしれないが、子連れで白眼視される場所ばかりではないどころか、子連れNGな場所はそんなに多くはない。電車内でベビーカーが邪魔扱いされるとか、駅の階段で誰も手助けしてくれないとか、子連れ客は迷惑だとか、日本人は子連れに優しくないかのような話はネットで広まりやすいものだが、意外とそうでもないことを伝えておきたいと思った次第だ。

1 2

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。