『未払い料金を回収するために子供を預かった』という苦しい言い訳/殺人シッター公判 

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検察官「3月に自分とわからないようにやりとりして預かりの約束をしましたね?」
物袋「はい」
検察官「その後、Xさんや他の人に夜の短時間保育を依頼していますね。母親から一旦他の人に預けようと?」
物袋「はい」
検察官「何のため?」
物袋「料金回収のためです」

 だが、その主張そのものが不可解である。未払い料金があるというのであれば母親に直接コンタクトを取り、話をして納得してもらった上で回収すれば良いからだ。メールアドレスを変えられてしまったと物袋は言うが、子供らを送り届けていたのであるから母親の自宅もわかっているし、電話番号も知っている。方法はいくらでもある。だが物袋は、あくまでも「自分だとわからないように別のシッターを挟み、龍琥君とB君を預かること」にこだわっていた。

検察官「他人を装って龍琥君とB君を預かる前になぜ母親の自宅に行かなかったんですか?」
物袋「私にも予定がありましたから、他の仕事とか色々予定があって行けなかった」
検察官「なぜ電話で請求しなかったんですか?」
物袋「電話だと話しづらいから。えーと、料金を請求することをです」
検察官「あなたは弁護人の質問に対しては『私は厳しい取り立てはしない』と言っていましたね。母親の家を訪問することと、他人を装って龍琥君とB君を預かること、どっちが厳しい取り立てだと思います?」
物袋「……もう一度言ってください」
検察官「あなたにとって、厳しい取り立て、って何?」
物袋「ん~、無理に、無理に回収する……」
検察官「他人を装ってシッターを引き受けるふりをして母親に接触する……厳しい取り立てにあたらないの?」
物袋「はい」

 物袋の言い分としては、一旦二人を預かったのち、引き渡すために自宅を訪れてから母親に直接料金を請求しようと思っていたのだという。

検察官「でもそうするとあなたは、単に料金トラブルの物袋さんというだけでなく、トラブルがあって、連絡先も変えたのに、別人を装って接触した物袋さんということになりませんか?」
物袋「その通りです」
検察官「そんな人と母親がまともに話してくれると思いました?」
物袋「思いました。料金払ってないんで、その説明すれば」
検察官「別人を装っていることなどをどう説明するつもりだったんですか?」
物袋「何も」
検察官「預けの日、Xさんが母親に『物袋さんから頼まれた』と言えば、母親は子供を預けていたと思いますか?」
物袋「思います」
検察官「前日、弁護人の質問に対しては『母親に直接会うことはできないと思っていた』と言っていましたね? 直接会わない相手に子供を預けると思います?」
物袋「……もう一度お願いします」

 このように供述は揺れるのだが、大筋で物袋は「別人を装って預かったのは料金回収のため」であると主張し、また仮に、つなぎのシッターXが物袋の名を出しても、母親は自分に子供を預けていたのだと言い張った。だが論理は破綻している。そうであればつなぎのシッターは不要だからだ。その点について検察官が何度も訪ねたが「ようは料金回収のため」と同じことを繰り返した。

 そして龍琥君に対する殺人については、完全に事故であるとの主張を繰り広げる。曰く「お風呂に入って10回以上、潜りっこをして遊んでいた。龍琥君を浴槽に残し、物袋が洗い場で髪を洗っているときに、気づいたら龍琥君が溺れていた」というものだ。だがこれにも厳しい追及がなされた。「5分間髪の毛を洗っていた」という物袋が龍琥君の異変に気づかなかったのか、「浴槽から龍琥君を引き上げて胸を踏み水を出した」というが、なぜその後救急車を呼ばなかった、などである。物袋は龍琥君の浴槽での異変を「気づかなかった」と述べ、救急車を呼ばなかった理由を「役所から、ここでは保育をしてはいけないと言われていたので呼べなかった」などと述べていた。

 だが母親の通報を受け、317日の早朝、警察が物袋と接触する。このとき警察官に向けて「弁護士は通したのか」と物袋は言ったのだという。これについても「そういうことを言ったか、覚えてないんですけどぉ~」と、よく記憶がないような供述に終始している。

 物袋は龍琥君とB君を預かる前にネットで「変装」について検索をし、事件後は「溺死」について検索していた。前者については「変装しないと母親に会ってもらえない」、後者については「よく覚えていない」と答えた。

 次の第6回公判からは、多数の乳幼児に対する児童ポルノ製造、強制わいせつ等についての審理が始まった。

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