2017年夏、日本各地を襲った水害。大損害を受けないための住まい対策とは?

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 記録的な長雨が続いているこの夏、7月の九州の豪雨災害では多くの方が亡くなりました。そもそも日本は降水量が多い国で、フィリピンに次いで世界で2位だそう。そうなってくると、お家の水害対策もきちんと考えておく必要を感じます。

 住まいが海の近くや川沿いでないから水害は関係ないと思っている方もいるかもしれませんが、実は一見、水辺からは遠いと思われる土地でも水害の危険はあるのです。

 たとえば東京都の世田谷区。内陸に位置し多摩川以外は大きな河川もないので水害とは無縁と思いきや、洪水ハザードマップを見ると河川沿い以外の地域でも、思いのほか多くの地域が水深1メートルから2メートル以上の被害の恐れありとなっています。住宅地として人気がある世田谷でもこの状況。みなさんのお住まいの地域も、ハザードマップを確認してみる必要があるでしょう。

 もしも自分の家に水害の恐れがある場合はどのように自衛すればよいのでしょうか? ホームインスペクション(住宅診断)の老舗、さくら事務所のホームインスペクター川野武士さんにうかがいました。

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川野武士さん

【プロフィール】
ホームインスペクター 一級建築士 住宅と公共建物の設計、監理の経験を経て建築コンサルタントに従事。住まいの計画前から設計中、施工中、完成後まで幅広い相談に対応。また、施工中の現場では運営状況の改善などのアドバイスを得意とし、これまでに受けた住まいに関する相談は、1,000件以上。状況に応じた的確なコンサルが好評を得ている。

水害でどれだけ家が傷むのか?

ーー水の被害といっても、床下浸水から家が流されてしまうレベルまで、深刻さはまちまちだと思います。少しの浸水でも家には影響があるものなのでしょうか。

川野武士さん(以下、川野):ハザードマップを見て「うちは大丈夫だろう」と安心される方もいらっしゃるかもしれませんが、家の被害は地域の浸水状況だけでなく建物の形状や間取り、構造によっても大きく変わってきます。たとえ20~50㎝の浸水でも、基礎や床が低い、つまり家自体が低い高さからあると、床下浸水だけでは済まず、床上浸水の可能性もあるのです。

ーー自分の家の基礎の高さを把握している人は少ないかもしれません。戸建のみならず、マンションでも一階部分に住んでいるなら、たとえ低い水位でも要注意ですね。

川野:最近の一戸建てでは、基礎の高さは地面から40㎝確保されている建物が主流ですが、築年数の古い物件であれば30㎝くらいが普通とされていました。また、都内など高さの制限のあるエリアでの3階建ては、地上階の床を下げることで天井の高さを確保しようとしているケースも多いので、床が低くつくられている傾向があります。

ーー1階部分が半地下になっている家、近所の住宅にも多いです。ハザードマップを見ると洪水の危険のあるエリアにもかかわらず……。

川野:そういう家は水が流れ込むわけですから、当然水害には弱いです。

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