ーーなるほど。では、1メートルから2メートルのレベルの浸水ではどうでしょう。そうなると基礎をちゃんとつくってあっても被害を受けてしまいますね。
川野:そのレベルですと、1階は床上浸水となります。もしも1階部分にユニットバスやキッチンなどの設備機器があると、被害がさらに大きくなります。
ーー水まわりがやられてしまうと、普段の生活が滞ってしまいますね。
ーー水害では修理費もけっこうかさむのでしょうか。
川野:修繕費は特に木造の場合、いかに早く対処するかで変わってきます。たとえ床下浸水であっても、手当てをせず水がたまったままだと、カビの発生、構造材の腐食が進んで深刻なダメージに。まず被害にあったら点検口から床下の状況を確認し、床下が浸水していたら水を抜いて、乾燥することが大事です。床下点検口のない建物もあって、知らないうちに水が溜まっていた→放置→カビ→構造の腐食なんてパターンもあるんですよ。
ーー床下で家が腐りはじめているのを知らずに放置しているなんて、怖すぎます。
川野:被害を想定して、今から点検口の設置をすることをお勧めします。一般的に床下には換気口がついているのですが、そこから浸水することが多いです。また基礎にある設備配管(排水管など)貫通部まわりの隙間から浸水することもあります。
修理費=500万円になることも…
ーー目に見えない床下にはリスクがたくさんあるんですね。では具体的な修理費の目安を教えてください。
川野:状況別に目安を示すと、①床下浸水=水抜き 5~6万円、②床上浸水=フローリング・畳や壁紙、下地の取り換えなど。1階床面積 50平方メートルで100~200万、③設備機器の交換がある場合=上記の対応に加えてユニットバス、システムキッチン、給湯器などの入れ替えも加わるので、①②③あわせてトータルで400~500万になります。
ーー水まわりが壊れるとトータルで400万円から500万円! それってひと財産ですね。
川野:水まわりの被害は金銭的にも生活的にも深刻な影響を受けるので、これから新築するなら、2階にリビングや水まわりを持ってくることも検討してみてはいかがでしょうか。特に都内の密集地では、眺望・日当たり・視線の意味でも、2階リビングを検討されることをおすすめします。給湯器も高い位置に設置、ブレイカーは復旧が大変なのでなるべく2階にして、1階と経路を分けておくというのもいいでしょう。逆に寝室や子ども部屋などは設備機器が少なく比較的修復しやすいといえるので、1階におすすめです。但し、就寝中に浸水すれば生命の危険もあるので、天候によっては2階へ予め避難することも覚えておいてください。
ーー一軒家の場合は、そういう工夫ができれば安心ですね。一方でマンションでは一階部分の部屋は少し安かったりもしますが、水害のある場所だと浸水リスクもあるからなんですね。もしも一階にお住まいで水害の可能性がある地域に住んでいるなら、床から地面までの高さや緊急時の避難先のチェックをしておいたほうがいいですね。