早朝から深夜まで「ママのタイムスケジュール」がタフすぎてロールモデルになり得ない問題

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 家庭が生活の場である以上、誰かが洗濯やゴミ出しをする必要がありますし、子供がいればその世話をしなければなりません。その役割を負うのが、女性である必然はないはずですが、「仕事と家庭の両立」例として取り上げられるのは女性ばかりです。「仕事と家庭を両立」している社会人男性のタイムスケジュールは、出てきません。あたかも完璧のように見える女性ロールモデルの提示が、結局のところ、女性ばかりが「仕事と家庭の両立」に勤しむ社会圧を強める方向に作用してしまわないかと気にかかってしまいます。

 雑誌や広告などマスメディアで紹介される事例は、とりわけ素敵に見えるものが多いです。“素敵”の裏側には勤勉さだけでなく、タフな体力・精神力があると思います。でも世の中、有能な人間だけで構成されていませんし、みんな真面目な努力家ではありませんよね。あるべき姿のようなかたちで提示される「仕事と家庭の両立」モデルの多くは、非常にハイレベルだと私は思います。そのレベルを三段階ぐらい落とせないものか。でなければ、あまりに壁が高すぎて、これから結婚や出産をしたいと望む女性も、挑む前から尻込みしてしまうのではないでしょうか。総合職として働きながら子育てすることの厳しさを見据え、一般職として就職したい優秀な女子学生もいるそうです(高学歴女子はなぜ今、あえて一般職を目指すのか)。

 女性が「仕事と家庭の両立」を実践するとき、いかにも大変そうなロールモデルばかりが並べられて「女性が輝く社会」と謳われても、大半の女性にとっては「なんでわざわざそんな大変なことを……」とげんなりするものではないでしょうか。ちなみに、日本人の睡眠時間は他国民と比べて少ない、と様々な調査結果で指摘されてきました。比較的新しいものでは昨年、米・ミシガン大学がスマートフォンアプリを通じて100カ国・数1000人以上のユーザーの就寝時刻と起床時刻を収集した国別の平均睡眠時間があります。最も短いのは日本とシンガポールの7時間24分でした。NHKの国民生活時間調査(2015年)では、30代において男性のほうが女性よりも平日の睡眠時間が6分短く、それ以外の世代ではいずれも女性のほうが短い睡眠時間しかとっていないとのことでした。

 「ママの一日タイムスケジュール」を紹介する企画では、他の家族より何時間か早く起きて朝食やお弁当の支度、洗濯などをこなし、出勤して帰宅後も他の家族が寝静まった後でないといわゆる自由時間が持てない、というケースがとても多い印象です。そのタイムスケジュールに疑問を覚えることなく、「お母さんとはそういうもの」と受け入れてしまう人も多いのかもしれません。だから「お母さんはすごい」とか「お母さんを大切にしましょう」とか。そんな大変そうな「お母さん」に、私はなりたいとは思えないのですが。もっとラクして生活することを提案するわけには、いかないものでしょうか。

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