大切なのは早期相談! 「誰のおかげでごはんが食べられてるのか」もDVになりうる。

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Photo by Ilaria gallo from Flickr

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 弁護士の佐藤正子です。連載3回目は、DVについて取り上げます。

 DV(ドメスティックバイオレンス)はすでに世間に浸透している言葉だと思いますが、メディアでは「配偶者や恋人など親密な関係にある、又はあった者から振るわれる暴力」という意味で使用されることが多いです。

 一方「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」、いわゆるDV法では、DVを「配偶者からの身体に対する暴力(身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすものをいう。以下同じ。)又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動」とかなり限定された定義をしています。

 またDV法は、配偶者(事実婚を含む)を保護するものであって、恋人は対象になっていません。いわゆる「デートDV」といった恋人や友人などの暴力・言動は含まないんですね。ただ、他の法律で保護されることはあるので安心してください。

 なお、よくDVについて「女だけが保護されている、男は損」という話も聞きますが、保護される人は「配偶者」ですから、当然男性も含みます。どちらか片方に有利/不利な法律にはなっていません。

 さらにちょっとややこしいのですが、DV法で保護されるのは、身体的な暴力だけではなく、「心身に有害な影響を及ぼす“言動”」も含まれます。これは暴言や脅迫的な態度など、精神的なDVのことを指しています。

 以上がざっくりとしたDV法の説明です。ただし今回は、DV法が対象とはしていないけれど、たとえば、離婚や婚約破棄などの関係が破壊されたときに問題になるかもしれないものを取り上げようと思います。というのも、この記事が「これされるの、いやだな……」と感じたり、「(やっちゃった、言っちゃったけど)まずいかな……」と思う人が、(法律相談にかかわらず)誰かに相談したり、対応策を考える、自身の言動を軌道修正するといったきっかけになって欲しいからです。

 DV法が認めている「暴力」以外でも、暴力や言動がいわゆるDVとして離婚や慰謝料の額を決めるときに問題になることはあります。今回は、(DV法が対象としているものも含め)どういったものがDVとして扱われる可能性があるか、「身体的」「精神的」「性的」の3つを取り上げます。内閣府のサイトを参考にしましたので、もっと急いで詳しいことが知りたい方はそちらをどうぞ(http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/dv/02.html)。

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