自己肯定感が回復し、“自分として生きる”を覚悟し決意したことで、見違えるように精神状態も回復していきました。動けるようになって自己実現できるようになって、さらに回復が進みました。そして話し合いを重ね、自分が苦しかったのは結婚であり、くま自身ではないと気づき、お互いに旦那、夫、妻、嫁などと呼ぶことをやめ、パートナーと呼ぶことにし、通い婚、オープンマリッジの形を取ることになりました。オープンマリッジ(夫婦間以外の恋愛、性的な関係を相互に認める結婚のスタイル)については、いずれwezzyでお話したいと思います。
さまざまな活動をとおして自分より少し歳上の、あるいは年代の近い女性と接する機会が増え、自分が思っているよりも身近に感じて心が楽になりました。歳上で自分のやりたいことをやって輝いている女性もたくさんいました。たとえば昨年『ゲスママ』を発表され、性の表現で活動されている神田つばきさんとお話して、自分の冒険を30後半で始めたことに勇気づけられました。自分がやってみたかったことをまだ諦めなくてもいいと思えるようになりましたし、なにより私が魅力的だと感じる歳上の方々と接することで、女性は若さだけが価値でないとあらためて実感することができたのです。
30歳になった日を迎えて
30歳を迎えた8月4日、改めて今の自分を振り返りました。
新しく屋号を建てて個人事業を再開し、いまは少しずつ収入も出ています。けれど、まだひとりで安定できるほどの稼ぎはありません。これはコンプレックスになっています。いまの状態だったらフルタイムで決まった仕事をしたほうが楽かもしれないし、何よりそれによって安定が得られると思います。でもここまで来たら、くまに借金をしているつもりで、今はやりたいことを優先しよう、形にして積み上げることに注力しよう。そう決めました。
金銭的に余裕があって社会的地位があってバリバリ働くーー30歳の私は、そんなふうになれてはいません。
性格もまったく落ち着いていません、子どものままだなぁと思うことが多いです。実際、同い年よりも社会人としてのスタートが遅く、そのこともコンプレックスになっています。でもここ2年ほどで、ようやく形にできたものもあります。特に30歳の節目を迎える今年は、自分でも間違いなく「前に進んだ」「積み重ねた」といえる年になりました。
そして私は、いまの自分が好きだと自然と思えるのです。ずっと迷走してきたなか、「私は私でいい」。そう思えるようになったらすっと力が抜けたのです。いえ、力を抜くということ自体を初めて知ったのです。
30代のロールモデルは?
これから30代を生きるうえで、具体的なロールモデルやゴールはなくていいと思います、自分で作りたいって思うんです。ただ、何をするかよりも、自分がこうなりたいと思ったことをどれだけ叶えられたか、近づけたか、それができているか、私が自分でいられていると感じられているかーーそういったことが私にとっては一番大事です。
私は毎年誕生日には、今年はどれだけ積み重ねられたか、来年はどんな1年にしたいかを確認しています。誰かになるのでなく私のままで魅力的な人間になりたい、そう思っています。自分であるということにフォーカスしたら、若く見えるよりも歳のぶん積み重ねたと思える人になりたい。1年1年積み重ねて魅力的な人間になっていきたい。
ここ数年、毎年想像もしていなかった未来に立っています、30代はどんな自分になっていくのか楽しみです。