社会

乳幼児たちへの性的行為は「イジメによるトラウマのフラッシュバック」と説明/殺人シッター公判

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検察官「そもそも、それならシッターを辞めればよかったんじゃないですか?」
物袋「うーん……そういう考えはなかったです」
検察官「それで、陰茎や陰部を撮影すること自体で気持ちが楽になるんですか?」
物袋「いや、それだけではないです」
検察官「他にどんなことをすると気持ちが楽になる?」
物袋「裸にしたり、手を縛ったりとか……」
検察官「陰茎や陰部を見ると、フラッシュバックを起こして辛くなるのに、そういった画像を保存していたのはなぜですか?」
物袋「…………自分も保存されていたからです」
検察官「撮影した画像をスマホやカメラからわざわざパソコンに移していたのはなぜ? 見返すと、辛くなるんじゃないですか?」
物袋「違います」

 このように物袋の言い分……過去に自分も同級生の男子たちに性的ないたずらっをされたことがあり、それがトラウマとなっていて、シッター業務で男児女児の裸や陰部を見ると、フラッシュバックを起こして自分にされたことと同じことをしてしまう……というのは、はたから見ると苦しい言い訳にしか聞こえないが、この主張でいくと弁護士との事前の話し合いで決めているのか、譲ることはなかった。

 また物袋はシッティング業務の際に、紐やガムテープを持参していたのだという。フラッシュバックが起こることを予測していたのか? という検察官の問いには「そういうわけではありません。車に積みっぱなしだった」などと答えていたが、途中からシッティング業務に出向く時は、車を利用しなくなっていたので、この言い訳もいささか苦しい。また、乳幼児の陰部を見て、いじめによるフラッシュバックであるならば、物袋へのいじめ行為も、それと同時期に行われていたはずなのでは、という疑問が生じる。これも検察官が「いじめが始まった時期はいつか」と、質問を繰り返したが「小学校からはいじめられてた」「幼稚園の頃もいじめられてたと母から聞いたことがある」「自分の記憶としては、細かいとこまでは分かんない」といったように、その時期は曖昧。最終的には「34歳の頃の記憶はある」と苦しく述べた。

 言い分は矛盾だらけだが、物袋は「いじめによるトラウマがあり乳幼児の裸や陰部を見てフラッシュバックを起こした」説を頑強に主張する。だがその中でも、見方を変えれば、物袋が乳幼児を“狙っていた”理由、がよくわかるやり取りがあった。

検察官「小さい子を性的いたずらの対象としていたのは何でですか?」
物袋「んーと、いくつかあります。えーとまず……親に……言えない子。あと、自分がやられていることを分からない子。それから、ん~要は…………自分みたいに、記憶に残らないから、要は、トラウマにならない子…………」
検察官「あなた自身、記憶は34歳からあるんですよね。被害者のE君は5歳ですよね。トラウマになるんじゃないですか?」
物袋「…………ん~、ならないと思う」
検察官「なぜ?」
物袋「なぜ? 要は……その……情報源がないから。そういうことです」
検察官「どういう意味?」
物袋「何て言えばいいのかな~。こういうことあったよ、とか、そういうことです」
検察官「自分がされたことがどういう意味を持つのかを知る『情報源』がないということ?」
物袋「それもあるし、そういうことあったよ、とか、そういうことです」

 性的虐待の意味をまだ知らない幼児、そしてまだ言葉が発達していない乳幼児。物袋はそういう子供たちを狙って、シッター業務を引き受けていたのだ。だがその行為が、性的な意図によるものかという検察官の長時間の追及には、やはり否定し続けた。被告人質問はその後、各被害者らについての細かなやりとりに移ったが、その際も同様に、である。だが次回第8回公判とそれに続く第9回公判では、本件の核心とも言える「物袋が本当にこうした行為で性的満足を得ていなかったのか」、「物袋に小児愛性の嗜好があったか否か」が、被告人質問と鑑定人の尋問によって浮き彫りにされた。

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