山尾志桜里議員は不倫疑惑報道を受けて離党・議員辞職すべきなのか。

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山尾しおり公式サイトより

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 7日発売の「週刊文春」(文藝春秋)で民進党・山尾志桜里議員の不倫報道が報じられ世間を騒がせている。同党は、今月1日に代表選を行い、前原誠司新代表が決まったばかり。新体制として舵を切ろうとしていた矢先のスクープだ。

 当初、新幹事長として抜擢される予定だった山尾(以下、敬称略)だが、4日午後、前原は方針を転換。結果的に山尾は何の役職にもつかなかった。「週刊文春」によれば人事変更が発表されたのは、同誌取材班が山尾を直撃した翌日のことだったそうだ。今回のスクープが新体制の人事に大きな影響を与えた可能性は低くない。

 山尾は現時点で報道に関するコメントを発表していないが、不倫疑惑を全面否定しつつも、離党・議員辞職を検討しているという報道が複数出ている。

 2016年のベッキー・川谷絵音不倫報道以降、芸能人や議員の不倫騒動はブームと言っていいほど非常に注目されるようになった。議員の不倫報道で記憶に新しいところでは、今井絵理子、中川俊直、宮崎謙介などが挙げられるだろう。それ以前にも、細野豪志、谷亮子、後藤田正純、菅直人……と政党を問わず枚挙に暇がないほど多くの不倫疑惑報道が流れている。

 現在、山尾の不倫報道を受け、SNS、メディア、政治問わず離党・議員辞職を求める声が当然のように叫ばれている。だが実は不倫報道後の議員の対応は様々だ。例えば今井は離党も辞職もしていないが、中川は離党のみ、宮崎は離党および辞職という対応をとっている。その他議員も何もしない、あるいは役職を辞任するか離党という対応が多い。意外に思われるかもしれないが、次の選挙で落選するケースはあっても、議員を辞職することは非常に稀なケースなのだ。議員辞職した宮崎の不倫報道は20162月のこと。同年1月にベッキー・川谷絵音の不倫報道がなされたばかりで、不倫への風当たりが異常に強かった時期がゆえ、なのだろう。過去のケースから考えても、宮崎のケースが異例であって、議員辞職を求めるのが当然、というわけではないのだ。

 そもそもプライベートな領域で起こした問題の責任として、即政治家失格の烙印を押し、議員辞職を迫る必要があるのだろうか?

 不倫と政治家としての能力は別の問題だ。ましてや犯罪でもない。当然、個人的に失望を覚える人は多いだろう。議員に求める倫理観も人それぞれだ。だが失望を覚えたのであれば、次の選挙で候補者や所属政党に票を入れなければいい話で、わざわざ時間と予算を割いてまで補欠選挙を行うような事態に発展させる必要はない。

 確かに山尾は、宮崎の不倫疑惑報道の際に、メディアで批判を展開していた人物でもある。山尾に禊を求める声も理解できないわけではない。まさに「ブーメラン」な報道だった。

 山尾や民進党の政敵にとってこの流れは都合がいいのかもしれないが、党を問わず多くの議員に不倫報道が出ている現状を考えれば、再びブーメランとして返ってくることは想像するに容易い。不倫などプライベートな領域でのスキャンダルを即座に離党・辞職に繋げようとするとする流れをこのまま続けるのは、国民にとっても、特定の政党を応援する人にとっても、議員にとっても、誰にとっても得にならないだろう。この不毛な流れは早々に断ち切らなければいけない。

 もしも清廉潔白な人間しか議員になれないのだとしたら、出自から過去の経歴からなにからなにまで調べ上げられ、どこまでも潔白であることを証明できなければ選挙に出馬できないということになる。そんな人間がどこにいるというのだろうか。

 不倫は関係者間や民事裁判などで問えばいい。それ以上でもそれ以下でもない。
wezzy編集部)

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