誘拐、性犯罪、いじめ、恋愛、川。心配でたまらない子どもの安全に、親はどう折り合いをつける?

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野々村友紀子さん(撮影:細谷聡)

子どもを産むと、その健康と安全が何より気がかりになるものです

死守したい親子の防犯意識

――ひとつだけ選ぶとしたら、野々村さんが娘さんたちに特に声を大にして伝えたい言葉は、どれなのでしょう。

「一番は【常に「命」を意識しなさい。】ですね。レジャーなんかで、少しのお金をケチって自分の命を危険に晒すかもしれないことは、やらないでほしい。

自分の命に関しても、子どもを持ってからの方が意識することが多くなりました。産後って、『この子を守らないといけないから、自分は死ねない』という思いが、急にぶわっときますよね。しょうもないことなんですけど、私、出産してから遊園地のジェットコースターに乗れなくなったんですよ。死ぬんちゃうかな、と思うようになって。昔は絶叫マシンが好きすぎて全国の遊園地を巡る勢いだったのに、いきなりですよ。あんなに好きだったのに、今ではリスキーな乗り物だなと思うようになって。『私はここから無事に帰れるのか?』という怖さを超えたドキドキと、『なんで金払ってまで命を危険に晒してるねん、私』ってアホらしさで、乗りたいと思わなくなった。子どもが待っていると思ったら『こんなんしたらあかん!』と、遊園地の乗り物のほとんどが怖くなりました(苦笑)」

――産後から“生死”をやたら身近に感じて意識する現象、とてもわかります! 自分の命もそうですが、やっぱり、子どもが被害者になる犯罪のニュースに敏感になりました。誘拐や性犯罪被害などの不安が、常に付きまといます。

「怖いですよね。子どもが巻き込まれた事件のニュースは、いつもめっちゃチェックして調べたりしています。本当に胸が痛かったのが、2011年の3月に、熊本のスーパーで起きた3歳女児殺害事件です。保護者がレジに並んでいるとき、3歳の娘さんが『トイレに行きたい』と言ったそうで、ひとりでトイレに入ったところ、見知らぬ男に殺害されてしまった。すごく大きなショックを受けました。自分も、もし混雑したレジに並んでいて、あと少しでやっと自分の番だというときに、娘が『トイレ!』と言い出したら、行かせてしまったかもしれない。まさかそこから、二度と会えなくなるなんて思わないですよね。

私は、長女が3歳頃、ショッピングモールのファストフードでレジに並んで注文しているとき、隣にいると思ったのに『いない!』と姿を見失ったことがありました。時間にしてほんのわずかですが、人混みの中を探しまわる時間は、とても長く感じました。動悸が激しくなり、ギューッと肝が冷えましたね」

――ヒヤリハットというか、日常が非日常になってしまう瞬間がありますよね。

「事件に巻き込まれる子どもの、『さっきまでは日常だったのに、数分先にまさかそんなことが……』ということがとてもリアルに想像できてしまって。そうした子どもの親を思うと、悲しんではるやろうな、と涙が出てきます。

その頃からですね、事件に遭わないよう何を気をつけたらいいかを意識し始めたのは。外出時にひとりでは絶対にトイレに行かせない、目はとにかく離さない。子どもにも厳しく言ってきました。すると今では、小学生なのに自宅の郵便受けから手紙を取ってくることやゴミ捨てすら、『怖いから行きたくない』と言うほど、ちょっと臆病になってしまいました(笑)。あまり言いすぎても怖がらせるだけなので、バランス感覚が必要ですよね」

――小学生ともなると子どもたちだけで公園で遊ぶ機会もあるかなと思います。路上での声掛け事案とかも気をつけたいですよね……。

「ありますね。ここもバランス感覚が難しい。あるとき子どもと公園に行くと、ジョギング中の老夫婦が『こんにちは』と挨拶してくれたんです。でも娘は、ものすごく怪訝な目で見て、挨拶を返さない。なぜかと言えば、学校では『知らない人に話しかけられても、返事をしちゃダメ』と教えられているから。そういう娘を見ると、これはどうやって教えたらいいんだろう、という課題はあります。学校にもよるとは思いますが、『全部無視するように』と教えられたら、子どもはそうしますよね。たしかに難しいですよ、初対面の他人を『この人はいい人か悪い人か』なんて大人だって判断できないですし。

私自身も大阪のおばちゃんなので、よく近所の子に声をかけるんです。たとえば、歩道で出会い頭に飛び出してくる子に『ダメだよ、危ないよ』なんて。娘と一緒にいるときに、エレベーターに乗ろうとしたら小学生くらいの子が飛び出してきて、そのように私は注意したんですね。すると娘は『うわあ、ママ、不審者だよ。子ども110番に通報されるよ』と言ってきまして……難しいなあこれは、としみじみ思いました」

――上のお嬢さんはもう、子どもたちだけで外で遊びますか。

「長女が小学校高学年ですが、そうなってきていますね。最初は後をつけたりして、安全そうな時間帯や、私が見て安心そうな道を通っているかチェックしていました」

――最初はそうでも、全部ついていくわけにはいかないですよね。そういった心配ごとと、親としてどうやって折り合いをつけていますか?

「最終的には、信じるしかないですよね。うちの子どもには、どういうとき・場所にどんな危険があるのかよく話して聞かせてきたので、そこまで無防備な状態ではないと思っています。絶対にひとりではトイレに行かないし、人気のない道は通りません。そうした注意点を覚えこませて、あとは信じるしかありません」

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