政党も年代も超えて集まる元大統領
米国政府はハリケーン・ハービー被害に対して15億ドルの拠出を決めたが、それを待たずしてアクションを起こしたのが、5人の元大統領たちだ。アメリカ合衆国第39代大統領のジミー・カーターから第44代のバラク・オバマまで、生存する全ての元大統領が党派を超えて集まり、被災地救済の寄付を募るプロジェクト「ワン・アメリカ・アピール」を開始した。
「ワン・アメリカ」とは支持政党は関係なく、「ひとつのアメリカ」になろうの意。「アピール」は「援助などを懇願する、訴える」といった意味を持つ。
多くのアメリカ人が、自分がかつて支持した大統領については生涯にわたって“ファン”のままだ。したがって2党の元大統領、そして過去40年間の元大統領が揃うことによって、支持政党も年代も問わずに多くの市民に“アピール”できる。実のところ、政治的な見解が合わず、必ずしも良好な関係ではない者同士もいるのだが、それはさておき自国のために集結したのはさすがである。
ワン・アメリカ・アピール
第39代 ジミー・カーター(民主党)1977-1981
第41代 ジョージ・H. W. ブッシュ(共和党)1989-1993
第42代 ビル・クリントン(民主党)1993-2001
第43代 ジョージ・W. ブッシュ(共和党)2001-2009
第44代 バラク・オバマ(民主党)2009-2017
※第40代 ロナルド・レーガン(共和党)1981-1989は故人
同様のアクションは過去にもあった。2004年にインドネシアでスマトラ島沖地震が起きた際、かつて大統領選で競い合ったジョージ・H. W. ブッシュ(パパ・ブッシュ)とビル・クリントンがタッグを組んだ。翌年にハリケーン・カトリーナがニューオーリンズを襲った際にもこの2人は共に支援活動をおこなっている。2人は2件の活動により全米憲法センターより自由勲章を授与されている。
2010年のハイチ大地震の際には地震から3日後に当時のオバマ政権が、全米に10万〜20万人いるとされていた「ハイチからの不法移民の強制送還中止」を発表。オバマ大統領の依頼により、やはりビル・クリントンとジョージ・W. ブッシュ(息子)がプロジェクトを率い、5,400万ドルを集めている。2人は後日にハイチを訪れ、被災地を歩いて被災者を励ますこともおこなっている。現役&元大統領の見事な連携プレーと言えるだろう。