児童婚への強い憤り、16歳の少女がラップで世界に理不尽を訴える! 私たちが映画『ソニータ』を見るべき理由

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児童婚させられそうになっている少女・ソニータのドキュメント。(c)Behrouz Badrouj

『ソニータ』は、イランに暮らすソニータという少女の生きざまを追ったドキュメンタリー映画です。彼女は祖国を追われた難民であり、近々、強制的にどこかの男と結婚させられる予定の16歳です。

「遠く離れた国に暮らす女の子の話? 共感できないんじゃないかしら?」

と思うかもしれません(私も見る前はそう思いました)。が、どっこい、日本の女性にこそぜひ見てほしい映画なのです!

 この映画には、女性が自分の価値を信じ、むずかしい局面においてもあきらめることなく信念を貫くことの大切さが爽快に描かれています。もしあなたがいま、窮屈さや生きづらさを感じ、人生の苦さ、厳しさを味わっている女性なら、『ソニータ』を見て励まされるに違いありません。

夢は「ラッパーになること!」

 ソニータはアフガニスタン生まれイラン育ち。タリバン政権を逃れるため、子どものころイランの首都テヘランに家族とともに逃れてきた難民です。

 パスポートも滞在許可証も持たない彼女はイランの学校に通えません。清掃の仕事などの収入で家族を支えるかたわら、地元NGOが運営するアフガニスタン児童のための教育施設で勉強しています。

 そこでソニータは自分が経験したさまざまな理不尽を詩や文章、写真や音楽で表現することを学んでいます。彼女の夢は、有名なラッパーになることです。

 しかし教室ではお金のために結婚させられたクラスメイトたちが日常的に学校を辞めていき、そんな現実にソニータは強い憤りを感じています。実はソニータ自身、知らない男性の元に嫁ぐよう家族に要請されている状況です。結納金として男性から支払われる9000ドルのお金が、家族には必要だからです。結納金を作る方法がないソニータの兄弟が、今度はそのお金で花嫁を迎える予定です。

 家族のことはだいすきだけど、知らない男性との結婚なんかまっぴらだし、なにより私は夢を叶えたい。

 イランでは女性が歌うことは違法であるばかりか、自分自身の意見を表明することすら危険な土地柄です。そんななか、ソニータは児童婚に反対するラップ曲『Daughters for Sale(売られる花嫁)』を書き、このドキュメントを撮ったロクサレ・ガエム・マガミ監督とともにミュージックビデオを制作します。

 強制的に結婚させられるまでのタイムリミットが迫るなか、YouTubeに公開されたその作品は、信じられないような奇跡を呼び込みます。

 日本も、まだまだ「女だから」という理由で人生が決まってしまうことが多い国ではないでしょうか。だからこそ、祖国を追われ、教育の機会もなく、結婚相手の選択の自由もないソニータが、どうやってみずから道を切り拓いていったのかを確かめてほしいのです。

 日本は、諸外国と比較して男女間格差が大きい国です。ILO(国際労働機関)が発表した世界の「女性管理職の比率ランキング」では、日本は128カ国中96位。男女の差を数値化した世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数」では、日本は世界145カ国中111位。いずれもほぼ最下位です。

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