「メサイアコンプレックス」を知っていますか? 自分を肯定するために人を助け、自分も相手も苦しくなる

暮らし・美容 2017.09.30 14:00

 メサコンによって本人が苦しむこともありますが、人に苦しい思いをさせてしまうことも多々あります。なぜならメサコンを抱えている人は、自分の存在を無条件で肯定できない苦しさをほかの人で埋めようとしてしているからです。本当は自分の欲求を叶えるためにやっていることに、「人のため」という仮面を被せてしまっているので、実際はその人のためになりません。それどころか人を利用する行為なのです。私の場合は「他人の役に立つなら自分は生きていてもよい」と思うために、人のために生きようとしていました。

 しかし一方で、ネット上でメサコンに関する記事を見かけるとき、「メサコン被害に合わないために」というものが目立ちます。「被害に遭わないようにすること」ばかりクローズアップされますが、もしかしたら自分も被害者だと思いながら人を傷つけているかもしれません。

 私はメサコンに限らず、安易に「ダメ男」「メンヘラ」「バカ」と決めつけることは危険だと思っています。「相手がダメな人間だから」と思えば自分の行為を省みなくていいという考えにつながりやすいからです。一方で自分が傷ついたことや苦しいと思っているのは大事なことで、それを打ち消す必要はありません。

 それでは自分も人も苦しめない人間関係を築くにはどうしたらいいのでしょうか? 後篇ではメサコンを克服する方法についてをお話します。

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卜沢彩子

2017.9.30 14:00

1987年生まれ。子どもの頃からの度重なる性被害経験を、2009年から実名・顔出しでサバイバーとして発信。個人やNPOで支援・啓蒙活動をつづけている。2016年に複雑化した社会問題を解決するためにA-live connectを開業。恋愛・性をはじめとした人間関係やコミュニケーションに関する相談や講演活動、記事執筆、SEX and the LIVE!!プロジェクトの運営など場作りを行っている。英才教育を受けたオタク。和柄とねこが好き。

twitter:@ayakourasawa

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