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弁護士の佐藤正子です。連載第4回目で取り上げるテーマは「不倫」です。
不倫報道がきっかけでCMを降板することになったり、政党を離脱したりと、芸能界・政界問わず、不倫は様々な場面で注目されています。法律相談でもよく問題になるテーマです。
ここでは、「不倫」のことを、「配偶者のいる男女が結婚相手以外と性的な関係をもつ」こととします。というのも「不倫」は法律用語ではないのです。法律上(民法上)、「不倫」に類似するものとしては、離婚原因の1つとして挙げられている「不貞行為」になるでしょう(民法770条1項1号)。まずはこの「不貞行為」とは何かを解説していきましょう。
離婚が認められるための不貞行為とはなんでしょう?
端的に言えば、結婚相手以外の人と性交(セックス)、あるいは性交類似行為を行うことが「不貞行為」に当たります。
そのため、肉体関係がなかったことを理由に「不貞行為はしていないから離婚はできない」と、配偶者から離婚を持ちかけられた側が反論するといったことがあります。この反論には一理あります。肉体関係がなければそうなのです。
ただし、実際に肉体関係を持っている動画がなければ、肉体関係の有無が証明できない、というわけではありません。
確かに手をつないでいるだけではダメかもしれません。しかし、「ホテル街で手をつないでいたり、車の中で腕枕をして寝ている写真がある」。あるいは「肉体関係があることが前提のメールやLINEが大量にある」、「どちらかの名前でふたりでホテルに一部屋で泊まった証拠がある」などで肉体関係が強く疑われれば、結果として裁判の際に不貞行為があると認められることはあります。もしも、配偶者が不倫しているという疑いがあるのであれば、これらの強力な証拠を集めるようにしてください。証拠となるものについては、後半に改めてまとめておきましたので、こちらもチェックしてください。
ちなみに、男性側がする言い訳として「風俗は不貞行為ではない」というのもあります。しかし、セックスをしていなくても、性器を云々しているだけでも性的関係を持ったことになりますので、配偶者がいる人が風俗を利用した場合も、法律上は不貞行為をしたことになります。
おおよそ不貞行為がどういうものか、そしてどのように証明されるかがおわかりいただけたでしょうか。ここからは、弁護士が不倫についてよく相談される内容について、Aさん(既婚・夫)、Bさん(既婚・Aの妻)、Cさん(未婚でAと恋愛中)を例に紹介したいと思います。
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