PMS(月経前症候群)という新しい“市場”がつくる、“不安定な女性像”に対する懸念

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 PMSの症状は、身体的症状と精神的症状を合わせて150以上もあるといわれている。このうち1つでも症状が当てはまればPMSと診断されるため、月経のある女性のうち9割がPMSを経験しているという報告もある。しかし当たり前だが、それは9割の女性が月経前に理性を失うということではない。

 また、頭痛、腹痛、浮腫みといった一般的なPMSの症状はもちろん、重篤な精神変調()に対しての治療法も確立されつつある。 『あさイチ』は、再現VTRにあったような極端な事例を紹介するのであれば、治療法についても触れるべきだった。これでは、PMSに対する誤解を生み、いたずらに月経前の女性に対する偏見を煽っていると批判されても仕方がない。

 これは 『あさイチ』に限られた話ではない。普段は温厚で仕事もできる女性が、月経周期に翻弄されるという話を面白がる人たちが一定数いるので、同じような内容の番組がたびたび放送されることになる。

 女性の社会進出が進んできている今日、それでも女性にはハンディがあると言いたい場合、女性にしかない月経は利用のしがいがある。女性にとって結婚や出産が当たり前でなくなった今、月経は女性を「意味づける」ための最後の拠り所なのである。

 PMSという概念が日本社会に急速に浸透しつつあるなか、それがどのように伝えられ、定着していくかは、今後の女性の在り方に大きな影響をおよぼす。したがって、メディアによる偏った伝えられ方、描かれ方に注目していきたい。

 私は、医療によって痛みや苦しみから逃れられるのであれば、積極的に利用したいタイプの人間である。月経痛しかり、出産しかり、PMSについても症状が辛ければ婦人科を受診すればよいと考える。

 しかし、「ごく当たり前の月経前の不快症状」に診断名をつけて医療化すること自体が、女性全体にとって不利であり、新たな月経タブーだという考え方もある。したがって、PMSの症状には個人差があることが周知されなければならない。特に企業がPMS関連商品を発売するにあたっては、コマーシャルが女性観に与える影響を十分に考慮する必要がある。

)月経前の重篤な精神変調を指す概念としてPMDD(月経前不快気分障害)があり、精神医学の分野で治療法などの研究が進んでいる。

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