『奥様は、取り扱い注意』『監獄のお姫さま』……「フェミニズム的な話は世間に受けない」はウソ

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『監獄のお姫さま』公式サイトより

 wezzyTwitterなどを見ていると、フェミニズムの話題はここ数年でどんどん聞かれるようになったと感じるのですが、そんな空気をまったく感じていない人も多いと聞きます。

 先日も、ある女性編集者が会社でフェミニズムについての本の企画をにおわせたところ、そんなものが受ける土壌はないと一蹴されたとか。新しい話題を取り上げていこうという出版社がそうだったら、ほかの会社ではもっと風当りは強いのではないでしょうか。

 ところが、テレビドラマの世界では、特にこの秋からのクールでは、フェミニズムを感じる作品でいっぱいです。これはどういうことなのでしょうか。

 もちろん、これまでにもフェミニズムやジェンダーへの問題意識が描かれた作品はたくさんありました。例えば、『問題のあるレストラン』(フジテレビ系)は、男性たちから理不尽なめにあわされた女性とゲイとでレストランを立ち上げる物語。20151月と、かなり早い時期にこうした問題に取りくんでいたために、なかなか風当りも強かったと聞きます。

 その次に登場したのが、去年の10月にスタートした『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)でしょう。このドラマは、「恋ダンス」や「ムズキュン」というキャッチーな試みやキャストの魅力によって受けたと考えられていますが、高学歴女性が正規職につけない現実、結婚したら好きなのだから夫のケアをやって当然という「好きの搾取」を指摘するような場面などもありました。未婚のまま高齢処女として生きる土屋百合(石田ゆり子)の「自分に呪いをかけないで。そんな恐ろしい呪いからは、さっさと逃げてしまいなさい」というセリフは、女性たちが知らず知らずに「若さ」が女性の価値であるという呪いにかけられている状態であったことに気付かされました。

 同時に、津崎平匡(星野源)や風見涼太(大谷亮平)のように、女性の話に耳を傾け、「呪い」をかけることに加担しない(または、気づいたら、ちゃんとそこに加担しないようにしようとできる)男性像も描いたことで、このドラマは支持を得たのだと思います。

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