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『奥様は、取り扱い注意』『監獄のお姫さま』……「フェミニズム的な話は世間に受けない」はウソ

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 さて、その後はというと、真正面からこうした議題に取り組んだ作品はあまりありませんでした。ただ、前回紹介した『伊藤くんAtoE(MBS・TBSでは、クズ男の周囲で彼に翻弄される女性たちを描きつつも、そんなクズとの経験を通して逆に女性たちに連帯の気持ちが生まれる様子が描かれたりもしていたし、朝ドラの『ひよっこ』(NHK)や『架空OL日記』(読売テレビ)でも、女性たちの世代を超えたつながり、連帯が書かれていました。

 ジェンダーの問題やフェミニズム的な視点を描くドラマを複数あげることができていたということは、確かに下地はあったのだと思います。それ以上に、の秋から始まったドラマでは、女性たちを描いた作品が特に目立ってくるようになってきました。

 例えば、『奥様は、取り扱い注意』(日本テレビ系)は、特殊工作員という過去を持つ専業主婦の伊佐山菜美(綾瀬はるか)が、女性を困らせる人々を暴力で制裁するというアクション・コメディです。その相手は、家庭内暴力をしている夫であったり、過去にAV出演していた主婦を脅している同業者、クラブでナンパして襲おうとした大学生などさまざま。これ以外にも、綾瀬、広末涼子、本田翼演じる妻たちが「やんちゃな過去は男にとっては武勇伝になるけど女の場合は黒歴史でしかないもんね」「女に求められるのはかわいいとか初々しいとか基本的にはお人形さんでいることだからね」「女が渋くて強かったらダメなんですかね。かっこいい大人の女を目指しちゃダメなんですかね」といったセリフで、女性に当たり前のように向けられてきた「呪い」を明らかにすることもあります。

 これらは、些細なセリフにも思えるかもしれませんが、少し前のドラマであれば、妻はこうした疑問を持っても、世の中のルールがそうであるならば、声に出さないのが正解という空気を出していることが多かったのではないでしょうか。「かわいいお人形さん」を求められることの多かった女性芸能人であれば、そこに疑問を呈しないという空気は強かったでしょう。

 そして今クールで言えば、宮藤官九郎・脚本、小泉今日子・主演の『監獄のお姫さま』(TBS系)も女性たちの連帯を描いている作品です。

 『監獄のお姫さま』は、ある罪をかぶせられて監獄にいる江戸川しのぶ(夏帆)の冤罪を晴らすために、刑務所の中で知り合った女性たちが出所後に協力して、しのぶの恋人・板橋吾郎(伊勢谷友介)を追い詰めるという物語です。

 2話では、小泉演じる馬場カヨが、自分と夫とのエピソードを吾郎に語るうちに、吾郎を夫に見立てて追い詰めるシーンがありました。理路整然と正論を言い返す吾郎に対して、心の中にあるものを吐き出すカヨ。そんな姿を見て「要点まとめてから話しません?」と吾郎がいった途端、カヨが爆発し、感情を高ぶらせてこんなことを言うシーンがあります。

「要点しかしゃべっちゃいけないの? 要点以外はどうすればいいの? 誰に話せばいいの? 前は聞いてくれてたじゃん。そっちは誰かにしゃべってるかもしれないけど、こっちは誰にも話せないの。だから全部要点なの」

 こうして書き起こすために見返していても、涙が出てきます。このセリフに対しては、ツイッターでも女性たちのかなりの共感がありました。

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