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『奥様は、取り扱い注意』『監獄のお姫さま』……「フェミニズム的な話は世間に受けない」はウソ

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 妻と夫という関係性だけでなく、様々な場面で、男性から「コイツの話には聞くべきメリットがない」と判断されることがあります。最初から聞く気がないのにも関わらず、話を聞かない理由をこちらが要点をまとめていないことに転嫁し、理路整然と説明しろと言われる。女性ならばそんな経験したことがあるのではないでしょうか。もちろん、上司からそんなことを言われたことがあるという男性もいるかもしれません。ただ、これは「女性であるから下に見ていい」「女性は理路整然と話せないものだ」という強い思い込みによって起こることの方が多いものでしょう。

 そのくせ、女性が理路整然と話せば、「かわいげがない」と言われることもあります。こうしたダブルバインドに苦しめられた女性は、もはやどうしていいのかわからない状態になっていたのではないでしょうか。

 要点をかいつまんで話すことができないのは、要点をかいつまんで話さないほうが、男性に好ましく思われるという経験を積み重なり、「そうしたほうがいい」と内面化してしまっていたということもあるでしょう。

 またカヨの「前は聞いてくれたじゃない」という言葉には、主に恋愛関係において、親密さが増すほどに、そんな状態に陥りやすいことが描かれています。

 これは、ある意味「好きの搾取」とつながっています。相手が自分に興味を持ち、ちゃんと耳を傾けようとしていた時期には、要点などまとまっていなくても話を聞いてもらえていたのですが、女性側の好意が自明となった途端、「話を聞かなくてもいい人」と見なされる…そんな関係性は確かにあります。それはもはや要点がまとまっているかいないかの問題ではなく、話を聞きたいか、それを面倒だと思うかの問題なのです。

 『監獄のお姫さま』の他にも、今期は篠原涼子演じる佐藤智子が女性議員になって奮闘する姿を描いた『民衆の敵~世の中、おかしくないですか?~』(フジテレビ系)もあります。こちらは、セリフからフェミニズムを感じさせるところまではいっていませんが、保育園問題などに切り込んでいて、ジェンダー問題、女性に降りかかる問題を取り扱ってはいるとは思われます。

 冒頭で紹介したように、ある女性編集者は会社から「そんなものが受ける土壌はない」といわれてしまいましたが、ドラマの世界では、わずかではあるけれど、フェミニズム的な問題意識を描き始めているし、共感も得ているように思います。そこには、女性プロデューサーたちが、現場で「そんなものは受けない」という人々を根気よく説得してきた結果であるのではないかと思われます。そして、そこに共感している女性たちは視聴者数からは簡単に見えないけれど、たくさんいるのだと思います。

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