社会

性暴力を、政治ゲームの道具にするべきではない。立憲民主党議員のセクハラ・強制わいせつ報道への反応に覚えた疑問

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 wezzyで繰り返し言及してきたように、性暴力は別の問題にすり替えられることが多々ある。最近では、映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタイン氏による性暴力、セクシュアル・ハラスメントが多数の女優、モデル、スタッフから告発された件について、『バイキング』『ワイドナショー』(ともにフジテレビ系)が、「枕営業もある」と被害を軽視し、エンタメ的な消費を行っていることを記事にした。

ワインスタインの性的暴行を「女優が誘う枕営業もあるのに」と軽んじる『バイキング』の異常と、バラエティ番組のエンタメ的売春消費について
志村けんが共演女性にセクハラする理由と、権力者側が持つべき意識

 痴漢被害よりも、痴漢冤罪ばかり問題視するような態度も、これと同様だろう。

女性の痴漢被害を笑い、男性の被害者意識だけを叫ぶ「男性のための痴漢対策ワークショップ」のおぞましさ

 これらはすべて、性被害の問題を直視する前に、論点をすり替えるという態度だ。「すり替える」という意識すらない、つまりそもそも性被害の問題を、問題だと考えていないのではないか、と邪推したくなるほど頻繁にみられる。

 今回の立憲民主党の所属議員の報道についても、おそらく立憲民主党に親和性があるのであろうという人からも、反対に立憲民主党に反感を持っているんだろうと思われる人からも、同様の態度が見られた。

 前者の一部は本報道に対してこんなツイートをしていたり、あるいはリツイートをしたりしている。

「どうしてこのタイミングで報道をするのか」「自民党にもこうした議員はいるのに、なぜ立憲民主党を狙い撃ちにするのか」。

 後者の一部はこういう。

「ざまあ」「自民党議員だったらもっとやっていたはず。追及が甘い」。

 まずおさえていきたいことは、両議員の報道はあくまで疑惑であり、今後の検証を待たなければいけないということ。また報道に対して、何らかの力が働いているのではないか、といった安易な陰謀論に飛びつくことも避けるべきだということだ。なぜこのタイミングで報道されたのか、という疑問を持つことはできる。それでも、それぞれの立場が確定する、選挙終了後を待たなければいけなかった可能性もあるし、もし『週刊文春』が立憲民主党の足を引っ張る意図があったのだとしたら、むしろ投票日の前に報道したほうが良かっただろう。解釈は様々可能ではあるがゆえに、安易な陰謀論に飛びつくべきではない。

いずれにしても、こうした態度は、政敵のことばかり意識していて、被害にあったとされる女性のことをまったく軽んじているのではないか。女性たちの告発が事実であるならば、何より考えなければいけないのは告発した女性たちのことのはずだ。そうまでして、性暴力の問題を軽視したいのだろうか。思い返せば、ジャーナリストの伊藤詩織氏が、同じくジャーナリストの山口敬之氏からのレイプ被害を告発した際にも、同様の態度がみられた。

こうして性暴力の問題は、論点がすり替えられ、後回しにされていく。性暴力も、そして被害を告発女性も、何かのための道具ではない。真っ先に考えなければいけない問題はなんのか、どの地点から考えるのかが、その人の態度を示している。
wezzy編集部)

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