wezzyで既報の通り、日本では、ワインスタイン騒動を、女優から監督やプロデューサーなどにアプローチをかけることもあったのではないかとして、横行する性暴力よりも、むしろ「枕営業」を問題視する形で取り上げる番組があった。
・ワインスタインの性的暴行を「女優が誘う枕営業もあるのに」と軽んじる『バイキング』の異常と、バラエティ番組のエンタメ的売春消費について
・志村けんが共演女性にセクハラする理由と、権力者側が持つべき意識
こうした証言からわかることは、日本では「枕営業」が常態化している可能性が高いということだ。それにもかかわらず、ハリウッドのように、ワインスタイン騒動を受ける形で告発が相次ぐという状況に一切なっていない。枕営業が横行していることだけでなく、プロデューサーや監督など権力を持つものから性的アプローチをかけられたことがある、という話は以前からあったが、結局エンタメ的な消費がなされるだけで、番組内でそれを問題視し、事件にまで発展するような事態はなかった。
『バイキング』や『ワイドナショー』(ともにフジテレビ系)の番組内容を見れば、ワインスタイン騒動のような発展がみられないことも納得できる。
現在の日本で女優やモデル、アイドルがプロデューサーや監督などの実名を出して性的関係を迫られたことを告発したらどうなるだろう。「業界には枕営業もあるのが習慣」「本当に嫌なら断れたはずだ」「納得の上だったのに、あとから気持ちが変わったんだろう」などと言われたり、過去の言動をあげつらって「告発した女優はこんな人間だ!」等々の放送が日々行われている様子は想像するに容易い。
アメリカでも同様の反応はあるのだろう。しかし、だからこそ最初にワインスタイン氏を告発した女性たちは勇気のある行動だったのだし、彼女らの行いを無駄にしてはいけない、業界を変えていなかければいけないという思いが、告発が続出する事態にまで発展したのではないか。日本の芸能界は、変化の兆しがまったくない。
これはテレビ局などマスコミだけの問題ではない。今後、性暴力を告発する芸能人が現れたとき、私たちはどんな反応をするか、これまでどんな反応をしてきたのか、という話でもある。残念なことに、様々な報道への反応を見る限り、私たちは告発者が現れにくい社会を作るひとりの加担者になっているように思えてならない。日本の芸能界を変えていくのは、私たち一人ひとりが性暴力の深刻さを受け止め、声をあげていくことから始まる。
(wezzy編集部)
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