インターセックスの人々は「第3の性別」を求めているのか? インパクトを求め、単純化した報道は当事者と家族を危険に晒す

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「インターセックス」とは?

  そもそも「インターセックス」とは、医学的には「性分化疾患」、または「体の性の様々な発達:DSDsDifferences of sex development)」とも呼ばれる「体の状態」を表す概念です。

 私たちが学校で習う、染色体や、卵巣・精巣などの性腺、膣・子宮の有無、外性器の形状などの「男性の体・女性の体のつくり」は、あくまで基礎的・平均的なものでしかありません。「DSDs」・「インターセックス」は、こうした「平均的」「普通」だとされる体の状態とは一部異なる体の状態を指す言葉です。

 なお「インターセックス」という呼び名は日本語圏では「性行為」を連想させる言葉でもあり、まだ小さな当事者のお子さんも多くいらっしゃいます。そこで、ここからは、欧米の人権支援団体などが「インターセックス」という用語を使う場面以外は、DSDsという略語を使っていきます。

 先程も書いた通りDSDsは、「性的指向」や「性自認」の多様性を表す、いわゆる「LGBTQ」のみなさんと混同されることがあります。特に多いのは、ジェンダークィア、日本ではXジェンダーとも呼ばれる、「男でも女でもない」などの「性自認」を持つ人々との混同でしょう。しかし「性の多様性」の文脈で言うならば、DSDsを持つ人々の大多数は、切実に女性・男性の性自認であり、異性愛です。「第3の性別」を求めていたり、あるいは「戸籍上の性別を変えたい」と望んでいる人はそれほど多くありません。むしろ、自身の体の状態を理由に、女性/男性として見てもらえないのではないか? あるいは男でも女でもないと思われるのではないか? と恐怖し、恋愛関係や不妊の状態により大きな困難を抱えるというケースがほとんどなのです。

 ただし、DSDsを持つ人々の中にも、DSDsを持たない人々同様、LGBTQ等性的マイノリティの人々はいらっしゃいます。その中には、自身を「男でも女でもない」とする人々もいます。つまり今回のドイツ裁判所の決定は、DSDsを持つ人々の中でも、こういった「男でも女でもない」という「性自認」を持つ人が、さかのぼって男女以外の性別を登録できるように法改正しなさい、というものであって、DSDsを持つ人々全員に対して、「第3の選択肢」を選びなさいと命じたわけではないのです。

 欧米の「インターセックス」の人権支援団体でも、LGBTQ等性的マイノリティのみなさんのムーブメントから、「インターセックス」の体の特徴を持つ人々の性自認や性的指向を尊重するようにしていますので、この決定自体は歓迎しています。

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