インターセックスの人々は「第3の性別」を求めているのか? インパクトを求め、単純化した報道は当事者と家族を危険に晒す

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欧米の支援団体が求めているのは「同意なき手術の禁止」

 一方で、今回の判決はDSDsの当事者家族が置かれている状況を考えると非常に複雑なものでもあります。

 赤ちゃんが生まれた時、多くの場合は、外性器の形で女の子か男の子か性別が判明します。しかし約0.02%の確率で、外性器の形や大きさ、おしっこが出てくる尿道口の位置などが一般的な女の子・男の子のものとは少し違っていて生まれてくることがあります。こうした場合は、性別の判定にしかるべき検査が必要になります。

 「インターセックス」の人権支援団体が求めているのは、「第3の性別」という新しい選択肢ではありません。性別判定にしかるべき検査を必要とする赤ちゃんについて、「外性器はこういう形・サイズが普通である」という規範・固定観念に合わせるような手術を、本人への説明・同意なく行うことの禁止なのです

 性器への手術は非常にセンシティブなもので、いい加減な性別判定しかできなかった時代,特に欧米では、本当は男の子と判定できるのにペニスを切除したり、粗雑な手術によって外性器が無感覚になってしまったり、30回にも及ぶ手術になったりなど多くの問題がありました(ただし、日本ではかなり以前からDSDsの専門医師の間ではとても繊細な判定や手術が行われていました。そのため、手術の是非ではなく、当事者家族をいかに「より良い」専門の医師につなげるかという方が課題になっています)。

 しかし、今回の判決によって「DSDsの人たちは第3の性別を求めている」という誤解が広まることで、大多数の当事者家族が誰にも相談できない抑圧的な状況にさらされ、適切な対応を取れなくなる危険性が高まります。また、こういう性別欄があるという事実、また社会的に第3の性別という偏見の目で見られてしまうという不安と懸念から、むしろオペを早めてしまう親御さんが出てくる可能性も高くなります。DSDsにまつわる様々な誤解・偏見は、同意のない手術の禁止を求めるという観点からも複雑な状況を招き,DSDsを持つ人々やその家族を、より社会的に抑圧していくことにもなりかねないのです。

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