社会

DSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患/インターセックス)の新・基礎知識Q&A

【この記事のキーワード】

QLGBTQ等性的マイノリティの人々との関係って?

 まず、LGB(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル)は、同性愛・両性愛など、どういう人に愛情を感じるかという「性的指向」を表し、T(トランスジェンダー)、Q(ジェンダークィア:日本ではXジェンダー)は、その人の性自認(出生時に割り振られたのとは異なる性自認、あるいは男でも女でもないという性自認)を表すものです(LGBTの基礎知識については、遠藤まめたさんのこちらの記事を参照してください)。

 一方DSDsは、性自認や性的指向ではなく、あくまで外性器の大きさ・形や、性腺の種類、染色体の構成、女性の子宮の有無など、「これが『普通の』女性の体・男性の体」とする固定観念とは一部異なる「体の性のつくり」を表す概念です。

 そしてDSDsを持つ人々の大多数は、自身をLGBT等性的マイノリティの皆さんの一員とは考えていません。これは、DSDsを持つ人々の体験が、LGBTQの皆さんのような内発的なものではなく、むしろ事故やガンで子宮や卵巣を失った女性などの外的なトラウマ体験に近いということも理由のひとつでしょう。そういう人が自分を性的マイノリティと考えないのと同じなのです。

 さらにDSDsを持つ人々の大多数は、自分が女性・男性であることにほとんど全く疑いを持ったことがなく、むしろ自分の体が完全な女性・男性と見られないのではないか?と不安に思っています。LGBTQ等性的マイノリティの皆さんの「男性・女性に分ける社会に疑問を投げかける」といった流れとは、実は全く逆という状況がほとんどなのです。

 ただし、もちろん、DSDsを持つマイノリティの人々にも、様々なマイノリティの人がいるのと同様、LGBT等性的マイノリティやその支援者の人々はいらっしゃいます。 ですが、メディアやLGBTQの皆さんの前に登場するDSDsを持つ人々は、その中でも性的マイノリティの人々に限られてしまい、センセーショナリズムも相まって、更にステレオタイプなイメージを広めている状況があります。(性的マイノリティの皆さんの「オネエ問題」に近いかもしれません)。その背後には、社会的偏見にじっと耐えている、多くの当事者家族の皆さんがいるのです。

 DSDsを持つ当事者の皆さんの思いを通り越して、性的マイノリティの一員に加える事は、例えば国と国との関係で考えるといいでしょう。それぞれの国には「主権」というものがあり、周りの都合で勝手に組み入れることはできないのです。LGBTQ等性的マイノリティの皆さんとDSDsを持つ人々との関係は、互いが互いの理解者となることが大切になってくるでしょう。

Q.トランスジェンダーの人とはどう違うの?

 DSDsを持つ人々と、トランスジェンダー・性同一性障害、ジェンダークィア(Xジェンダー)の人々との混同は、今でも根強くあります。

 たとえば、DSDsを持つ人々に対して「性自認は女性(男性)なんですね」と言うことは、一見配慮しているように見えますが、これは「あなたの身体は女性(男性)とは言えないけど、自分を女性(男性)と思っているので、女性(男性)と認めます」と言っているようなものになります

 支援団体も20年近く前から「ジェンダー(性別)の問題ではない」と言っているとおり、DSDsを性自認や性別(ジェンダー)の問題とはとらえていません。

 また、自身の生まれの性別に違和感を感じる人の中で、何らかのDSDsが見つかる人というのはごく少数であることも分かっています。さらに、自身を「男でも女でもない」等の自認する人は、LGBTQの「Q:ジェンダークィア(日本ではXジェンダー)」の人々で、その大多数はDSDsを持つ人々ではありません。

 DSDsの問題群を、すぐさま性自認や男性・女性というジェンダーの問題と受け取る意識の背後には、むしろ「これが『普通の』男性・女性の体だ。(それに合わなければ男性・女性とは言えない)」という社会的な固定観念・規範が働いていると言えるでしょう。

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