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基本的な「家事」の水準が異常に高い日本。家の中でまでせっせと働かなくてもいいのでは問題(『「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす』佐光紀子)

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そこそこ散らかってるくらいでいいのでは

 話を同書に戻そう。女性が丁寧な家事をやりすぎている日本の現状に、佐光氏はいくつかの警笛を鳴らす。少子高齢化が叫ばれる日本だが、出産すれば「おそらく自分が家事と育児の多く背負うことになり、キャリアの修正の可能性が出てくるとなると、『踏ん切りがつかない』のは人情だ」とし、となると賃金労働に従事している多くの女性にとって出産のデメリットが大きく感じられてしまうのではないかと危惧する。日本では家事だけでなく子供の教育も「母親の責任」と見なされがちで、学校からの連絡も母親に来ることが多く、育児休業を取得する男性は少ない。母親は仕事をしていても家事の手抜きを「ズル」と思ってしまう、家事の外注や休日に子供を預けて夫婦でデートといったリフレッシュのハードルも高い。日本のワーキングマザーのしんどさを指摘し、「多少のサボりや手抜きを穏やかに見守ってくれる社会だったら、どんなに楽だろう」と願う。

 確かに今の日本には、サボりや手抜きを穏やかに見守るどころか、他人の生活にいちいち口出しする小姑的な空気がメディアを通じて充満しているように感じる。だけどテキトーでいいしラクをしていい、だって自分の家の中なのだ。お母さんという役割の人にとってもそこは自分の家であり、ゴロゴロ過ごして当たり前の場所ではないだろうか。私自身が家事を丁寧に、あるいは完璧にやろうと思っておらず、そのプレッシャーも感じていないことはたびたび書いてきたとおりだ。

今日は『主婦休みの日』。けれど家事は365日いつ休んでも、適当でもいいってことにしよう

 だいたい実態としては、日本の女性/母親の誰もが家事の手抜きに罪悪感を抱いているわけではないし、丁寧な家事を行っているわけでもないと思う。家事育児に積極的な男性/父親だっている。周囲に手抜き家事をチクチク責められてもスルーしている人だっているだろう。一般家庭に抜き打ちでカメラを入れるようなテレビ番組が放送されているが、そこに映る「家庭」はどれもそこそこ散らかっていて、そんなものだよなと安心を覚える。

 丁寧な暮らしに憧れるのは結構だし、実践して充実感を得られたり楽しいと思えるぶんにはとてもいいことだろう。が、それもまたひとつのライフスタイルに過ぎない。パジャマを毎日洗濯しなければ気持ちが悪い人もいるだろうし、パジャマは月1回洗えばそれでいい(気持ち悪さを感じない)人もいて、どちらが正しいというものではないだろう。食事もそうで、コンビニ食でも栄養素が極端に偏らなければOKだし、手作りにこだわりたい人はそうすればいい。手作りごはん、ピカピカ清潔な衣類に住居を整えることが唯一無二の正解で一番偉い生活ではないのだから、自分がラクに思える程度・頻度で身の回りのことをしていればそれでいいはずだと思う。また、住居を整えるのが女性の仕事なわけでもないので、子供なり夫なり祖父母なり同居家族がそれぞれの衣類や持ち物の整理整頓をやるだけでも、いわゆる主婦の家事負担は大きく減り結果的にラクして清潔を実現できるだろう。

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中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

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