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「親のスネ」の正しいかじり方 相続税よりもお得な贈与税に関する仕組みの解説

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相続と贈与のミックス制度?

 リッチ庶民の子が相続税を払う可能性はあるといっても、相続税の対象者は日本で上位10%未満に入るお金持ちだけ。大半の人は相続税がかかりません。具体的には、親の財産が3000万円+(600万円×法定相続人の数)に確実に収まる場合、相続税はかかりません。そして、この非課税の枠を先(贈与時)に使ってしまう制度があります。それが相続時精算課税制度です。

 本来は、1年に110万円超を受け取ると贈与税がかかってしまいます。しかしこの制度の利用を申告し、税務署と話が付いていれば110万円を超えても税金がかからなくなります。

 母親と子ども一人の家族のケースで考えてみましょう。

 母親は亡くなった際に3600万円まで遺しても、受け取った子には相続税はかかりません(上の計算式を思い出してください)。しかし、遅かれ早かれ受け取るお金だったら、母親が元気なうちにもらっておきたい、という人もいるでしょう。ただ普通に贈与する場合、1年に110万円以上は税金がかかってしまいます。ではどうするか。そんなときに利用してほしいのが相続時精算課税制度です。相続時精算課税制度を利用すれば、2500万円まで贈与税が非課税となります。非課税上限が110万円から2500万円に一気に跳ね上がるわけですから、とってもお得ですよね。

 親が60歳以上であることなど、この制度を利用するための要件は他にもあります。事前の手続きも必要ですので、まず税務署に電話して相談してみてください。

住宅購入、教育費の贈与の裏ワザ

 贈与に関するお得な制度は他にもいろいろあるのですが、それぞれ条件が細かく違うため、今回は「こんな仕組みもありますよ」という紹介にとどめます。

子どものいる家族の場合、人生の3大支出に必ずランクインするのが、住宅購入資金と教育資金でしょう。

実は、この2つの目的で使うのであれば、贈与税の本来の非課税の枠である110万円(前段の相続時精算課税制度なら2500万円)に特別な非課税の枠をプラスしてもらえます。

 まず、住宅資金です。いくつかの要件を満たすと、今なら1200万円まで、消費税が10%になる予定の平成314月~平成323月の期間なら、最大3000万円までの贈与が非課税となります。それ以降も金額は下がりますが、平成331231日までこの非課税措置は続く予定です。

 次に、教育資金です。こちらもいくつかの要件を満たすと、子、孫ごとに1500万円までの贈与が非課税となります。現実的には、祖父母から孫への贈与となるでしょう。金融機関に孫の口座を開設し、教育資金として使われたことがわかる領収書も必要となります。こちらは、平成31331日までの制度です。

 その他も、結婚・子育て資金として1000万円(結婚関連は300万円)まで非課税という制度もあります(平成31331日までの予定)。細部を読んでいくと、住宅・教育資金より条件は悪いのですが、贈与税の非課税枠が広がることには変わりないので、結婚・子育てで親から110万円を超えるお金をもらえそうな場合は活用できるでしょう。

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川部紀子

ファイナンシャルプランナー(CFP® 1級FP技能士)。社会保険労務士。1973年北海道生まれ。大手生命保険会社に8年間勤務し、営業の現場で約1000人の相談・ライフプランニングに携わる。その間、父ががんに罹り障害者の母を残し他界。自身もがんの疑いで入院する。母の介護認定を機に27歳にしてバリアフリーマンションを購入。生死とお金に翻弄される20代を過ごし、生きるためのお金と知識の必要性を痛感する。保険以外の知識も広めるべく30歳でFP事務所起業。後に社労士資格も取得し、現在「FP・社労士事務所川部商店」代表。お金に関するキャリアは20年超。個人レクチャー、講演の受講者は3万人を超えた。テレビ、ラジオ等のメディア出演も多数。新刊『まだ間に合う 老後資金4000万円をつくる!お金の貯め方・増やし方』(明日香出版社)が発売中。

twitter:@kawabenoriko

サイト:FP・社労士事務所 川部商店 川部紀子】

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