社会

独特の上下関係や飲み会…。性暴力が起きやすい環境にいる大学生に「性的同意」を知るためのハンドブックを!

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 ゆえに「セクシュアル・コンセント・ハンドブック」は4月、新歓コンパなどが多い時期の配布を予定している。先に挙げた東大、千葉大の学生による事件でも被害女性はそのとき酩酊していたとされている。それなのに同意を確認しなかった加害者側ではなく、女性側が「酔ってようがいまいが、ついていった方が悪い」といわれることすらある。

大澤性暴力にまつわることで、根拠がなく実態ともかけ離れているのに多くの人が信じている事柄を”強姦神話”といいます。『ついていった方が悪い』や『派手で目立ったり、思わせぶりなことをするから被害に遭う』というのはその典型ですね。この神話、残念ながら大学生にも根強いと感じます。昨年の大学生の事件については、『被害者にも落ち度があった』という意見が多かったそうです」

 性的同意についての知識が抜け落ちていることが、強姦神話を助長しているともいえる。「部屋でふたりきりになったら、セックスしてもOK」「ふたりで飲みにいけば、それは性行為にOKしていることになる」「NOといっても本当は喜んでいる」のように、性的同意が「ある」と勝手に思い込んでいたり「NO」を聞き入れなかったりしたことで起きた性暴力も、「被害者も悪い」「落ち度があった」とされてしまう。

「性的同意」って堅苦しい?

大澤性に関する価値観や偏見は小さいころから刷り込まれているものも多くて根深いので、それを解体するむずかしさは感じます。特に、性被害は被害者が防ぐものある、という考えがいまだに根強いなかで、『同意を得る責任は、アクションを起こす側にある』と知ってもらうのは簡単なことではありません。これは『性被害の原因は、被害者ではなく加害者にある』という意味でもあり、これをいかにして伝えるか……。私たちは東京大学や創価大学を始めとする複数の大学で、性的同意についてのワークショップを開いてきました」

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各大学で開催したワークショップ

 これまでのべ620人以上の大学生に対して、計19回以上のワークショップを実施してきたという大澤さん。以前、wezzyで紹介した「第三者として目の前で起ころうとしている性暴力を止める」ための方法論を学ぶプログラムもその一環だ。

目の前で起きようとしている性暴力を、私たちは第三者として食い止められるか。大学生と学ぶ「第三者介入トレーニングプログラム

 性的接触をする前には必ずお互いの同意を確認しあう。そのことがまず大学生から、そしてもっと幅広い世代に広がれば性暴力は確実に減ると考えられる。ただ、性的同意を「無粋」「そんな堅苦しいことをしたら冷める」「そのときには同意しているといったのに、あとで『実はイヤだった』といわれることもあるのではないか」という声も聞かれる。大澤さんたちはそこにどうアプローチしていくのか。

大澤『同意を追求しすぎたら逆に楽しめなくなる』『いっそ同意書を持ち歩くのが一番だろう』という意見はたしかに耳にしますね。同意という語に堅苦しい響きを感じられるのかもしれませんが、結局はお互いがハッピーになれるよう、相手がOKしていると勝手に思い込まず、コミュニケーションを取り合って確認するということで、思いやりに基づいたものなのです。ワークショップでは、あえて性がからむシーン以外で、自分が同意していないことをされたときの不快感を想像してもらう、というアプローチを取っています。また同意にはマニュアルがあるわけではないということも知ってもらいたいですね。自分自身そして相手との関係性のなかで、互いに確認し合うものです。だから、ワークショップの最後には自分の言葉で同意を定義し、書き出してもらいます」

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 性暴力の加害、被害を未然に防ぐことを「一次予防」という。そのための知識は義務教育のなかで平等に行われるべきだが、いまのところそうした動きは見られない。であれば、大学時代が社会に出る前に「加害者にも被害者にもならないために必要な知識」を身につけられる最後のチャンスなのかもしれない。性暴力をなくす第一歩として、性を取り巻くカルチャーを変える。大澤さんたちの活動に、これからも注目したい。

Infomation

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セクシュアル・コンセント(性的同意)の教材をつくって
大学生の性被害をなくしたい!

性暴力の加害者にも被害者にもならないために必要な知識を載せた『セクシュアル・コンセント・ハンドブック』をつくって、来年4月の新学期に、大学生に配りたい! 私たちと力を合わせて、誰も傷つけない・傷つかない豊かな人間関係が広がる社会を一緒に作っていきませんか?

詳細は、https://camp-fire.jp/projects/view/46642

2017年12月21日、23:59まで受付中!

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