エンタメ

ダルちゃん、インテグレート……「女性の抑圧」を描く作品のモヤモヤ分岐点は”誰に何を語らせるか”

【この記事のキーワード】

資生堂インテグレート「カワイイをアップデート」が炎上した理由

ダルちゃん、インテグレート……「女性の抑圧」を描く作品のモヤモヤ分岐点は誰に何を語らせるかの画像2

資生堂INTEGRATE公式サイトより

 2015年に放送されていた資生堂インテグレートのCMを覚えているでしょうか。25歳を迎える女性の誕生日を祝う場面で、友人から「今日からあんたは女の子じゃない」と宣言されるセリフが炎上し、放送中止になりました。実はこのCM、今冷静になって見てみると、「大人の女性になりたいと願う人たちを応援したいという当CMの制作意図が十分に伝わらなかった」という企業側の言い訳も、あながち嘘ではないのかもしれません。

 彼女たちは、25歳を迎えたことを「めでたくない」といい、その理由を「ちやほやされないし褒めてもくれない、下にはキラッキラした後輩 週末ごとにアップされる結婚式の写真」「カワイイという武器はもはやこの手にはない」と語ります。その後、「カワイイをアップデートできる大人になるか、このままステイか」という二択で、三人が前者を選ぶという結末を迎えます。

 インテグレートの女性たちがいう「ちやほやされないし褒めてもくれない」状況は、女性を「若さ」や「見た目」で測る社会の呪いを羅列しているのであって、問題提起として悪くありません。しかし、三人の女性たちは、「カワイイをアップデートすること」で、その呪いをのりきろうとする描写は、これまでと同様、呪いに対する過剰適応のアップデートをしていこうという宣言にもとられてしまうわけです。

 おそらく「アップデートする」こと自体は、「大人になる」という意味であって、悪い表現ではなかったようにも感じます。問題は“カワイイ”の解釈でしょう。“カワイイ”は本来、悪い意味の言葉ではありません。しかし「カワイイという武器はもはやこの手にはない」というセリフがあったために、「“カワイイ”は女性を抑圧する社会に過剰適応をするための武器」と解釈できるようになってしまっていたのです。「大人の女性になりたいと願う人たちを応援したい」という意図で作られたはずのCMが炎上してしまった理由には、描き方やセリフに誤解させる部分が確かにあったと思われます。

1 2 3 4 5

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。