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マツコ・デラックスのインスタ嫌いとブス批判

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マツコ・デラックス

画像はオフィシャルサイトより

 一週間に8本もの番組にレギュラー出演しているマツコ・デラックス(45)。そのうちMCを務める番組が6本もあり、すっかり大物タレントの一人だ。彼女の持ち味といえば、歯に衣着せぬ“毒舌”であろう。口に出すのはちょっと気が引けてしまうような“本音”をマツコが代弁し、視聴者は「よくぞ言ってくれた!」とカタルシス効果にも似た快感を覚えて喝采を浴びせる。マツコの“毒舌”を好意的に捉えている人は多いと思う。

 しかし私がマツコの発言を手を叩いて喜べないのは、“毒舌”というより“暴言”に聞こえることもあるからだ。特に引っかかるのが、幾度となく繰り返される「ブス」発言と「インスタdis」だ。

 10月10日に放送された『マツコの知らない世界』(TBS系)で、インスタグラムに興じる女性は「ブス」が多い、可愛い写真をUPしたところで「ブスはブス」、インスタブームに対してそろそろ世間が制裁を加えるべき、などといった旨の発言が見受けられたが、他番組出演時もマツコはそのような発言を繰り返す。よほどInstagram文化が理解不能なのだろうか。

深田恭子が「ピンクとふわふわを封印」し、マツコ・デラックスの「インスタやったってブスはブス」が喝采を浴びる社会における、“可愛いのルール”

 124日放送『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)で、マツコは「教えてほしいの、(インスタの)何が楽しいの?」と質問。番組では「12700万人をメジャーとマイナーに分類」というアンケート企画で、「インスタをやる・やらない」を街頭調査、「やる派は54名」「やらない派は46名」だった。

 「やらない派」のやらない理由としてあげられたのは、「写真だけ撮って(食べ物を)捨てるみたいな、ああいうのが好きじゃない」などで、「やる派」がやる理由は「友達に自分の楽しかったことを自慢したい」「いいね!がもらえる」「おいしいご飯の場所とか知れる」など。

 インスタ映えと形容される、可愛くて素敵な画像を作るには、オブジェクトそのものの魅力だけでない構図や照明や加工テクが要る。番組では触れなかったが、その腕を磨く楽しさもおそらくあるだろう。自分のセンスを評価される喜びもあるだろう。

 マツコは「いいね!がもらえると何が楽しいの?」「(おいしい飲食店を知りたいなら)食べログでいいじゃないの」と言い、最後までインスタブームを肯定できないようだった。わからなくても別にかまわないだろうが、その「良さ」がわからないからといって、まるで愚かな行為のように忌避し、楽しんでいる人々にケチをつけて糾弾するのは、それこそ共感できないし“毒舌”でも何でもないと思う。

 インスタは企業のマーケティングの場として重要なメディアに成長した。広告出稿の場としてインスタを活用する企業は多い。日本国内のアクティブユーザー数は10月に2000万人を突破。限られた美男美女だけ、1020代の若者層だけの社交場では当然なく、マツコの言う「ブス」も含め、多くの人々がインスタに楽しみを見出している。「いいね!」が欲しい(承認欲求)、「見栄を張りたい」、「偽装」、などネガティブな印象で語られがちな新興メディアだが、少なくとも犯罪やトラブルの温床にはなっていない。どこにそこまで貶めたくなる理由があるのか、いまひとつわからない。

 インスタdisと絡めて「ブス」を罵倒することも多いマツコだが、その「ブス」認定基準はなかなかハードルが高く、男目線が強い。12月11日放送『5時に夢中!』(TOKYO MX)では、オリコンニュースの『第11回女性が選ぶなりたい顔ランキング』上位5名(1位新垣結衣、2位北川景子、3位石原さとみ、4位佐々木希、5位深田恭子)の顔ぶれが紹介され、コメントを求められたマツコは、「あんまりこんなこと言うのもアレですけど……誰になれたとしても御の字じゃない。(アンケートの回答者は)大概ブスでしょ」「誰になったっていいだろ、今よりはいいだろうよ」とツッコんだが、そりゃあ国内トップクラスの美人女優と回答者の一般女性を比較すれば“大概ブス”だろう。

 さらにマツコは「(最近)街を歩いている人を見てて、ブスが増えたと思うの」「20年前から10年前くらいの10年間って、本当にキレイになったって思ったの」「最近ブス多いよ」と切り出し、オルチャンメイクの女性に対して「ブスな女」「大概ブスになる」「モデルさんがやってもブスになる」「ブスがやったら大ブスになる」とこれまた猛烈に口撃した。オルチャンメイクをマツコが美しいと感じないだけのことではなく……? インスタを含め、女子コミュニティのきゃっきゃうふふに嫌悪感を覚えるのか、はたまた“愚かな女たち”という集合体への憎悪でもあるのだろうか。

 12月9日放送の『マツコ会議』(日本テレビ系)では、猫背改善を行うトレーニングスタジオを紹介する中で、マツコは「確かに猫背の女って大体なんかモテなさそうな女だもんな」「すごい姿勢の良いブスと猫背の可愛い子、どっちがいいかっていったら、大概の男は可愛い猫背を選ぶのよ」「下っ腹の出た可愛い子と、下っ腹の出ていないブス、男ってのは大概下っ腹の出た可愛い子を取るんですよ」「膝のキレイな貧乳か、膝が多少折り曲がっている巨乳かっていったらね、男は大概ちょっと膝がズレてても巨乳を選ぶのよ」と、熱弁。“男は~”といっても色々だし、猫背改善トレーニングの動機は「男にモテたいから」だけでもないだろう。マツコは“男は~”等と大きな主語で、こんなに雑な物言いをする人だったか。

 マツコの「ブス」連呼の文脈には、「ブス“のくせに”」という侮蔑が見え隠れしている。九州出身の博多華丸・大吉いわく、「東京とか大阪はブスが前に出てくる。福岡の女はやっぱ自覚してますんで、出しゃばらない。だから福岡は美人が多い街というイメージになる」というが、九州育ちではないマツコもまた同様の男女観があるのでは。彼女のブスdisにはその対象を鼓舞する意図はなく、不美人は慎ましく、目立たない生活様式をとることが望ましいとでもいうような、ミソジニーが潜んでいるように思えてならないのだが気のせいだろうか。誰もが堂々と歩いて、自分が可愛いと思うメイクをして、可愛いモノを共有して、何がいけないのだろう。

 けれどマツコと同じように、「インスタの良さがわからない」「勘違いブスは嫌い」といった男女にとっては、マツコの“毒舌”は人気で、非常に受け入れやすいものなのだろう。出演番組本数の多さはそれを裏付けている。『日経エンタテインメント!』が集計・発表している「タレントパワーランキング」では2年連続で総合1位、タレント好感度ランキングでも常に上位に立つ。影響力が強い存在だからこそ、“ブス”叩きや男女二元論に安易に走っているように見える最近の姿が残念だ。

中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

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