社会

性被害がもたらしたPTSDや精神疾患。ずっと自分を大事にできなかった私が自己肯定感を回復する過程

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 まず生活のなかで自分が不快に感じたり負担に感じているものを解消することから始めました。ものの置き場所をちょっと変えたり道具をひとつ加えるだけでも、受けるストレスは違うものです。

 こうした実践によって自己肯定感が回復してきた私は、いままで怒ることがなかったことに嫌な気持ちを抱くようになりました。性格が悪くなったようですごくつらくもありましたが、それでも自分が軽視されたり人から嫌なことをされたりすると、抵抗と怒りを覚えるようになっていたのです。

 それは、本来なら当然の反応です。私は理不尽にひどいことをされている、軽視されている、不要な責任を負わされていると感じたときに、自分のせいにせず、その人にしっかりと怒りを伝えるようになりました。自分の責任と相手の責任を切り分けて、「あなたの問題を私に着せないで」と伝えるようにしました。

「筋トレ」をして、力が抜けた

 そうしていくと人間関係は驚くほどよくなり、周囲が自分を大切にしてくれるようにもなりました。それでも変わらなかったり一緒にいてつらいと感じたりする人とはいったん距離を置くようにしました。そうすると心地のよい人と関わる時間が増え、自分の生活や心が豊かになっていくのを感じます。

 以上が、私がA先生からのアドバイスや自分の工夫をもとに実践してきた、心の筋トレです。身体の状態にまだ困難がありますし、精神的にもバランスを崩すときはありますが、自分を肯定したり受け入れたりする力が私自身の中にあり、心身ともに力が抜けたと感じています。被害後から地面が抜けて常に落ちていくような感覚が続いてましたが、いまは地に足がつき、自分の足で立っている感覚を持てています。

 現在、私は趣味で歌を歌っていますが、これも心の筋トレになっています。笑顔を作って発声したり表情筋を鍛えたりすると、気持ちが明るくなります。また腹式呼吸やドッグブレス(腹式呼吸の一種で、イヌがハッハッと息をするように早いテンポで呼吸すること)などは自律神経が整い、呼吸を見つめ直すことができます。

自分を大事にしていますか?

 ただ「心の筋トレ」というととても怪しく聞こえますが、私は「思考は生活習慣だ」と思っています。精神状態が気の持ちようで変わることはたしかにありますが、それはきっかけであり一時的なものです。しっかりと生活を変え、それを継続的に鍛えていかないと思考の癖は変わっていきません。筋肉が一日でつかないのと同じです。くり返し継続的に鍛えることが大事だと思っています。

 暴力の被害に遭ったり過去になんらかのつらい経験をしていると特に、自分を大事にしていいかどうかがわからなくなります。そうでなくても忙しい日々を送っていると「こうあらねば」というものに合わせるばかりで、自分を大事にすることを忘れてしまいがちです。

 これから年末年始とお休みがある方も多いと思います。少し時間を取って自分のできたことや積み重ねたことを振り返ったり、休む時間を意識的に取りながら心の筋トレを始めてみてはいかがでしょうか。

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